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抗コリンによる鼻閉のメカニズム
- 抗コリン薬であるベラドンナアルカロイドは鼻汁を改善するなど、少なくとも鼻閉を起こすことは考えられないと思うのですが、ビペリデン(タスモリン、アキネトン)では鼻閉を起こすことがあるようですね。
- 中枢性抗コリンか末梢性抗コリンの違いで説明ができるのでしょうか?
- 抗コリンという言葉は知っているが、末梢性と中枢性抗コリンの違いについては勉強していない
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耳鼻科医です。 おそらくご存じのことと思いますが、ポリープや鼻中隔湾曲などで 閉塞している場合を除き、鼻閉のメカニズムは、大きく分けて2つあります。 一つは血管の拡張によるもの。 これは自律神経の緊張状態を極めて強く受け、副交感神経刺激では 血管は収縮して鼻閉は改善します。 もう一つは、血管からの血漿成分の漏出によるもので、アレルギー性鼻炎 などに見られるようにロイコトリエンC4の関与が強く、功ロイコトリエン剤が 使われます。 また、鼻汁が増えれば当然鼻閉は起こります。 以上のどれに対しても、功コリン剤は抑制的に働くはずです。 ではなぜご質問のようなことが生ずるのか。 これは、科学的な立証はありませんが、耳鼻科医の間ではほぼ一般的な 認識なのですが、検査などで数値に表れる実際の鼻閉と、患者さんが 訴える「鼻閉感」とにはしばしばズレがあるということなのです。 有名な例では、下鼻甲介を全て切除してしまうと、かえって患者さんは 鼻閉感を訴えます。鼻腔内が大きな空間になってスカスカになっているにも かかわらずです。 ですから、腫瘍などの場合を除き、鼻閉改善の目的の手術では必ず下鼻甲介を 全切除せずに、なるべく元の形態を残すようにします。 おそらく気流が正常でないと鼻閉感を訴えるのではないかと思っています。 功コリン剤の場合、少々こじつけですが理由を考えると、鼻汁が不自然に 減少してしまったために乾燥感を生じ、それが正常な感覚を狂わせてしまった 可能性があること。 また、功コリン剤では鼻汁が粘稠になりやすく、「鼻汁があるのにうまく 鼻をかんで出せない」状態になり、これも鼻閉感の原因には成り得ます。 功コリン作用の強い抗ヒスタミン剤は花粉症患者さんには嫌われています。
お礼
ご回答ありがとうございます。お礼が遅くなってしまい申し訳ありません。 非常に参考になりました。抗コリンによる鼻閉の副作用は添付文書にも載っておらず、また、メカニズムも想像できなかったため、腑に落ちないものの人にも聞けず困っておりました。 こじつけとおっしゃっていますが、その説が最も有力であると納得いたしましたので、回答を締め切りたいと思います。 本当にありがとうございました。