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第三の道
新自由主義だとなぜ教育・医療が崩壊するのですか。イギリスの前ブレアー政権や他で第三の道などもいわれてます。それを支える意義とは何ですか。ギデンズさんの本をよめば分かるのですか。
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・公共財=排除性・競合性か? 経済的な競争の基準となる非排除性・非競合性で見れば、 教育や医療は純粋な公共財とはとても言えません。 かなりの分野で価格競争を成り立たせることは可能です。 しかし、教育や医療は社会的価値として最重要の分野であるため、 右派の主張する教育バウチャー制度や医療の競争政策には意見が分かれています。 教育に関しては、競争というのが経済的な意味ではなく、 社会的・心理的な意味で用いられ、別の分野の議論となっています。 ・歳出削減と福祉 問題の争点は競争だけではなく歳出削減にあります。 政府予算の大きい部分は教育・医療にあるため、 「新自由主義」的な政治家が、法人税・最高所得税や相続税の減税のため、 歳出削減が必要と言う場合には、医療や教育を圧縮する必要があります。 しかし、十分な教育を受ける権利が保障されないという事は、 親の所得によって参入機会が制限されるということであり、 「結果の平等」ではなく「機会の平等」の抑制になります。 医療費も、保険がなければ非常に高いものにつきます。 ガン治療代・500万円とかを突然請求されては高齢者はとても耐えられません。 超保守的な政治家でも、お金持ちには最善の医療、 貧乏人には時代遅れの死亡率の高い医療を施すことによって 「自然淘汰」が進むと言ってはばからない人は少ないでしょう。 もちろん、同じ質を維持しながら歳出を抑制できるならそれに越したことはなく、 効率を高める工夫は必要ですが、同じ質を維持しながら どれだけの削減ができるのかというのが問題です。 ・外部性 教育の影響はそれ以外の人物にも大きく波及します。 価格を見るだけでは外部性が捉えられません。 教育によって社会的な価値観が整うことが、 経済や制度を支えるインフラになります。 医療にも外部性があり、受診できない人口を無視していては、 感染症の流行や公衆衛生上の問題を起こす危険性があります。 特に発展途上国ではこういった問題の重要性は高いです。 ・情報の不完全性 消費者が情報を得られるかという問題もあります。 絶対に官よりも民が優れているなら、公教育よりも英会話教室、 公的医療よりも健康食品の方が優れていることになりますが、 世間でもてはやされているこういった高額の商品・サービスが、 本当に役立っているかどうかは疑わしい面があります。 ・アメリカでうまくいっていないということ 「新自由主義」の批判に繋がるというのは、 規制緩和で度々模範例に出されるアメリカが、 公教育でも医療でもうまくいっていないということです。 もっともこれは「新自由主義」のためではなく、 別の因子のためなのかもしれませんが。 アメリカの初中等教育には問題が多く、 国際的なテストで図られる公教育の質も低位にあります。 教育荒廃という意味では麻薬の横行など事態は深刻であり、 しかも貧困地区の不十分な教育が世代間を超えた所得格差を 招いているという批判の多い状況にあります。 医療面は生活習慣の問題も大きいでしょうが、 コスト面で見ればアメリカの医療費は先進国中一番高く、 成績面で見ればアメリカの平均寿命は先進国中最低レベルにあります。 アメリカの黒人の平均寿命は発展途上国の上位に達しない状況にあります。 さらにアメリカでは多くの保険非加入者を抱え、 これは多くの個人破産を招いているともされます。 大統領選では医療制度の改革が大きい争点となっています。 ・サッチャーと第三の道 イギリスではサッチャー政権の医療費抑制政策が 強い批判を招く事になりました。 歳出削減によって医師は海外に流出し、半端ではない 医療の診療待ち時間が社会問題化することになりました。 (ただ、新自由主義の医療といってもモデルが単一なわけではなく、 政権次第で政策に大きい違いがあります。 発展途上国の場合は、新自由主義というよりも、 本々から医療や教育が充実していない場合も多いです) ブレア政権では教育や医療の予算を増やす政策が取られました。 しかし、ギデンズの著書、「第三の道」「第三の道とその批判」では、 具体的な医療や教育の政策に大して触れられていません。 ブレア政権の教育・医療政策についても意見が分かれます。 こういった分野では別の書籍を当たった方がよいかと。 ・人間開発指数 国連の発表している人間開発指数は、 人間開発指数 = 所得 + 教育(識字率・就学率) + 医療(平均寿命) と、所得以外を交えた価値を用いています。 こういった合成指数の意味は限定的ではありますが、 所得以外の分野も成長させなくてはいけないという意識があります。 総合的な開発に関する思想家としてはアマルティア・センなどが知られます。
お礼
詳しくありがとうございました。2つの財は公共の財ではないですが、社会的に意義がおおきいということですね。 あまり詳しくのべられたことが接することないので、よくわかりました。第三の道も経済の誰かが推したとか不明なため、よくわからないものでした。 ご回答ありがとうございました