- ベストアンサー
遠藤周作の『沈黙』
この小説にはいろいろな動物や昆虫がでてきます。 例えば、カラス、鳥、鶏、馬、犬、猫、ラクダ、セミ、ハエなど この動物はただたんに登場しているのではなく、遠藤さんが 意図して登場させ、二重三重の意味を表していると聞きました。 だけど、何度読んでもその登場させる意味がわかりません。 この動物達の登場させた遠藤さんの意図を教えてください。 お願いします。
- みんなの回答 (1)
- 専門家の回答
質問者が選んだベストアンサー
こんにちは。私自身は「沈黙」を読んでいないのですが、兼子盾夫という方が書いた「遠藤周作の世界 シンボルとメタファー」によりますと、キリスト教図像学における象徴として以下が挙げられるようです。 魚→イエスキリスト、鳩→聖霊、蝿→悪魔的な行為(罪)を伝播する、蛇→悪魔、龍→悪の象徴・サタン、トカゲ→悪又は悪魔、犬→用心と忠実、ネズミ→悪、雄鶏→警戒と用心(鶏鳴は悔恨)、かえる→悪・異教徒、蝶→復活、蝉→復活、貝→洗礼・聖母マリア、ホタテ→使徒性ヤコブ、白百合→純潔・処女性、ポプラ→十字架、オリーブの枝→平和・和解、イチジク→現在・肉欲、リンゴ→現在、イチゴ→心正しき人・聖母マリア、瓢箪→リンゴと一緒なら復活、光→キリストの神聖、雲→紙の乗り物、風→神の息・聖霊 また他にも幾つかの暗喩があるようです。 黒ずんで沈黙する海→「神の沈黙」の暗喩 キチジローの分かり難さ→「隠れキリシタン」の暗喩 「日本という沼地」→「多神教的風土」の暗喩 色はキリスト教的に色々な暗喩があります。↓に載っています。 http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%8F%B8%E7%A5%AD%E6%9C%8D 兼子さんは横浜女子短大の教授をされていて、遠藤周作研究会、三田文学会、周作クラブの会員だそうです。上に挙げた内容は大学で発表された論文を1つにまとめた物だそうです。必ずしも遠藤さんと一致しないかもしれませんが、研究者の本ですのでかなり近いと思います。尚↓に本の詳細を挙げておきます。他にも「海と毒薬」「深い河」などが載っています。 http://books.yahoo.co.jp/book_detail/31946012 ご参考までにm(__)m。
お礼
これはすごいです。 とても参考になりました。 ありがとうございます。