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ARB(ミカルディス)と腎臓について
- 男性の30代半ばが血圧管理のために2年間ミカルディス20mgを服用していますが、腎保護作用と腎不全の関係について疑問を抱いています。
- 担当医はARBの腎保護作用を説明していますが、血液検査が必要な点に矛盾を感じています。
- また、クレアチニンの上昇傾向もあり心配しています。
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看護師をしております。 不安なことがある場合は、担当医師か処方している薬剤師に聞いた方が良いですよ。 患者さんから訊かれても、特に機嫌が悪くなるとか「そんなことは知らなくてもいい」なんて事はいいませんので。 さて、ワタクシは前述どおり医師でも薬剤師でもないので、あまり薬に対する詳しい知識はないのですが、興味をもったので調べてみました。 ちょっと長文になりますが、よろしかったら読んでみてください。 まず、腎臓についてですが。 腎臓は、血液を濾して、余分な水分や体に悪い物質(尿毒素など)や、余剰な電解質(カリウムやナトリウムなど)を体外に排出する機能を司ります。 ARBの腎保護作用というのは、腎臓の糸球体の圧力を低下させるという作用を言います。 糸球体とは、腎臓のなかでも最初に血液を濾す役割をもつ、毛細血管のかたまりのことです。高血圧の人は、糸球体の血圧も高いのです。 ARBには、輸入動脈(糸球体に血液が入ってくる血管)よりも輸出動脈(糸球体から血液が出て行く血管)の太さを太くする効果があります。つまり、糸球体の血圧をさげているわけです。 それで、腎臓のオーバーワークを緩和するため、腎保護と謳われるわけですね。 では、なぜ腎不全が起こる可能性があるのか。 (ここからはワタクシの解釈なので、正しいかわかりませんが^^;) 腎不全は、腎臓そのものが期待通りに働いてないことをいいます。たとえば、水分を排出しなければ浮腫や高血圧や心不全を起こしますし、尿毒素が溜まったり電解質バランスの異常をきたすわけです。 さて、ARBの輸出動脈拡大効果により、糸球体の血圧が下がり腎臓のオーバーワークが解消されます。 簡単にいうと、入り口が狭い小さな部屋に人がぎゅうぎゅうに入っていたとします。出口を大きく開くと、中の人はどんどん出ていきます。渋滞は緩和できますが、尿毒素や水などの荷物を全部置いていかずにスルーしていく人も居るわけです。 ここで、腎不全に対する考え方をちょっと変えねばなりません。 腎臓の機能は、前述したとおりです。腎臓は、糸球体で受け取ったものを分別し、ちゃんと機能を果たしていたとします。しかし、もともと糸球体で、血液を完全に濾していないことが起こり得ているわけです。 腎臓はちゃんと動いているけど、血液はまだ汚れたまま、体をめぐっています。すなわち、腎臓が働いていたとしても、血液は完全に綺麗になっていない=腎不全、といわれてしまうのです。 血液の検査をすると、腎臓で濾されてるはずの物質がどのくらい残っているのかがわかります。尿毒素や、クレアチニンもそうですね。 薬ですから、飲んだ患者さんの誰しもがそんな確実に腎不全を起こすように作られることはありません。ただし、もともと腎機能が弱っている人や、何か先天的なものを持っている人に投与すると、腎不全に進展してしまったりするのです。 アメリカの症例で、持続性ARBを投与されて急性腎不全になったというものが何件かあるそうです。 そこで、薬の添付文書に、注意して経過観察して欲しいという意味で「副作用:腎不全」と書いているわけです。
お礼
お返事が遅くなってしまいまして申し訳ございません。 御回答本当にありがとうございます。 糸球体の圧力を下げる、輸入動脈、輸出動脈のお話とても分かりやすく素人の私でも理解出来ました。 全体的に文章を柔らかく書いてくださっているので、とても理解しやすく助かりました。 お忙しい所詳しい説明に感謝です。 人柄を感じさせるような0yakataさんの温かみのあり、分かりやすい文面にとても助けられました。 本当にありがとうございました。