因みに、試料空気吸引中、および放射能計測中の放射能の減衰を考慮する場合、どのように計算するか示しましょう。
空気吸引、および放射能計測、それぞれの時間を T_s、T_m とし、放射性物質の半減期を T_h、とすると
(単位は全て、分に統一しておくとします)、捕集された放射性物質の核の数 N は、空気中の放射性物質濃度を C(Bq/リットル)、
空気吸引率を F(リットル/min) として、
dN={C・F/(0.693/T_h)}dt-(0.693/T_h)・N・dt となります。(t は経過時間を表わします)
これから、(dN/dt)+(0.693/T_h)・N=C・F/(0.693/T_h)
これを解いて、
N={C・F/(0.693/T_h)}・[1-exp{-(0.693/T_h)・T_s}]
放射能は、崩壊定数×核の数、つまり、(0.693/T_h)・N であるから
(0.693/T_h)・N=(C・F)・[1-exp{-(0.693/T_h)・T_s}]
従って、捕集された(筈の)放射能、(C・F)は、
(0.693/T_h)・N を [1-exp{-(0.693/T_h)・T_s}] で割って求められます。
更に、計数中の放射能減衰を考慮すると
計数値 A(カウント) は、その時に存在する放射性核の数を N' とすると、
N'={C・F/(0.693/T_h)}・[1-exp{-(0.693/T_h)・T_s}]・exp{-(0.693/T_h)・t} であるから
これを N_0・exp{-(0.693/T_h)・t} と書けば、
dA=(計数効率)・(0.693/T_h)・N'・dt
=(計数効率)・(0.693/T_h)・N_0・exp{-(0.693/T_h)・t}・dt
これを積分して、
A=(計数効率)・N_0・[1-exp{-(0.693/T_h)・T_m}]
上式の A に N_0={C・F/(0.693/T_h)}・[1-exp{-(0.693/T_h)・T_s}] を代入して
A=(計数効率)・{C・F/(0.693/T_h)}・[1-exp{-(0.693/T_h)・T_s}]・[1-exp{-(0.693/T_h)・T_m}]
∴ {C・F/(0.693/T_h)}=A/(計数効率)/[1-exp{-(0.693/T_h)・T_s}]/[1-exp{-(0.693/T_h)・T_m}]
これから、空気中の放射性物質濃度 C(Beq/リットル) は
C=[A/{F/(0.693/T_h)}]/(計数効率)/[1-exp{-(0.693/T_h)・T_s}]/[1-exp{-(0.693/T_h)・T_m}]
として求められます。