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三角関数の定義
cos, sinと全く同じように 「ピタゴラスの定理と加法定理を満たす関数」、すなわち [f(x)]^2 + [g(x)]^2 = 1 f(x + y) = f(x)f(y) - g(x)g(y) f(x - y) = f(x)f(y) + g(x)g(y) g(x + y) = g(x)f(y) + f(x)g(y) g(x - y) = g(x)f(y) - f(x)g(y) を満たす関数f, gは、 現行のcos, sin以外には存在しないのでしょうか。 すなわち、三角関数を 「上の関係を満たす関数」として定義しても 全ての性質を語り尽くすことができるのでしょうか。 また、「加法定理だけを満たす関数」としては どのようなものが考えられるのでしょうか。
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表記が大変になるので実係数の場合で書きます。 複素係数でも流れは同じです。 それぞれ f(x) = (a0 + a1*x + a2*x^2 + …) g(x) = (b0 + b1*x + b2*x^2 + …) として まず、両辺が f(x) のみで書くことのできる f(2x) = 2(f(x))^2 - 1 を使います。 すると、 a0 + (2a1)x + (4a2)x^2 + … = 2{a0 + (a1)x + (a2)x^2 + …}^2 - 1 のようになるので係数比較して、 a0 = 2(a0)^2 - 1 2a1 = 4(a0)(a1) 4a2 = 4(a0)(a2) + 2(a1)^2 などのようになるので、xの0次の式から a0 = 1 or -1/2 となります。 ここで、f(0)=1 より a0 = 1 となります。 後は順に代入していくと a1 = a3 = a5 = … = 0 a2 = a (任意) a4 = a^2/6 a6 = a^3/90 と決まっていき a_(2k-1) = 0 a_(2k) = (2a)^k/(2k)! になっていることがわかります。 (帰納法で証明できます。) f(x)の係数が決まったので次に、 g(2x) = 2f(x)g(x) を使って g(x) の係数を決めていきます。 b0 + (2b1)x + (4b2)x^2 + … = 2{a0 + (a1)x + …}{b0 + (b1)x + …} のようになるので、係数比較して b0 = 2(a0)(b0) 2b1 = 2(a0)(b1) + 2(a1)(b0) 4b2 = 2(a0)(b2) + 2(a1)(b2) + 2(a2)(b0) などを得ます。 これらから b0 = b2 = b4 = … = 0 b1 = b (任意) b3 = ab/3 b5 = (a^2)b/30 などと決まることがわかります。 ここで、任意定数として a,b 2文字を使ったのでそれらの間の関係を調べます。 つまり、 a2 = a b1 = b の間の関係を調べたいので、 f(2x) = 1 - 2(g(x))^2 の2次の項の係数を比較すると 4a2 = -4(b0)(b2) - 2(b1)^2 となっており、ここにそれぞれの値を代入することで a = (-1/2)b^2 という関係式を得ます。 今は、結果として任意定数 b を用いたほうが数式がきれいになり 先ほどの、b1,b3,b5 などは b1 = b b3 = (-1/6)b^3 = -b^3/3! b5 = (1/120)b^5 = b^5/5! となります。 また、a2,a4,a6 も a2 = (-1/2)b^2 = -b^2/2! a4 = (1/24)b^4 = b^4/4! a6 = (-1/720)b^6 = -b^6/6! となり、 f(x) = cos(bx) g(x) = sin(bx) となることがわかります。
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- guiter
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No.3 の回答の場合分けはもう少しきちんと (i)(∀x)g(x)=0 (ii)(∃x)(x≠0∧g(x)≠0) としておいた方がよさそうですね。 それから、ご質問の式を満たす関数 f,g が無限級数展開できるとして f(x) = Σ(a_n + i*b_n)x^n などと書いて与えられた式に代入し係数比較すると f(x) = cos{(a+ib)x} g(x) = sin{(a+ib)x} という結果を得ました。 b=0 の場合が実関数での例で普通の三角関数。 a=0 の場合が No.2 での私の回答の例に相当します。 a,b とも0の場合は finalanswer さんの例となっています。 これ以外に、変な関数で与えられた式を満たす例があるかどうかは専門の方に譲ります。
お礼
またまたありがとうございます。「複素係数の範囲で無限級数展開可能な関数」まで一般化してくださったのですね。非常に美しい結果なので自分でもフォローしてみようと思ったのですが、どのようにして係数比較されたのでしょうか?ご面倒でない範囲で教えていただけると幸いです。
- guiter
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>また、「加法定理だけを満たす関数」としては >どのようなものが考えられるのでしょうか。 f(x±y) = f(x)f(y) ± (-1)g(x)g(y) (1) g(x±y) = g(x)f(y) ± f(x)g(y) (2) のみが成り立っているとします。 (1)式において y=0 とすると f(x) = f(x)f(0) - g(x)g(0) f(x) = f(x)f(0) + g(x)g(0) が得られるので、これらから g(x)g(0) = 0 が成立。 (i)g(x)=0の場合 f(x±y) = f(x)f(y) y=0を考えると f(x) - f(x)f(0) = 0 より、 f(x)=0 or f(0)=1 ここで、f(x)=0 であれば f(x)=g(x)=0 となり (1),(2)式は当然満たしますが [f(x)]^2 + [g(x)]^2 = 0 です。 また、f(x)≠0( f(0)=1 ) のときには、 f(x-x) = {f(x)}^2 = 1 したがって f(x) = ±1 ただし、f(0)=1 でなければならないので f(x)=1 と決まります。 この場合が finalanswer さんの例で、 [f(x)]^2 + [g(x)]^2 = 1 も満たします。 (ii)g(x)≠0( g(0)=0 )の場合 (2)式において y=0 とすると g(x) = g(x)f(0) より、f(0)=1 したがって、 f(x-x) = [f(x)]^2 + [g(x)]^2 = 1 以上から、(1),(2)式を満たし [f(x)]^2 + [g(x)]^2 ≠ 1 となるのは、 f(x)=g(x)=0 だけではないでしょうか。 どこかに不備があるかもしれませんので、よく確認してください。
お礼
再びありがとうございます。正体の分からないものを論理的に追い詰めて行くさまを学ぶことができ、たいへん参考になりました。また、加法定理のもとではピタゴラスの定理は「f(0) = 1」と必要十分であることに気付かせてくださいました。
- guiter
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双曲線関数は三角関数が円に対して持っているのと似た性質を 直角双曲線に対して持っているので 三角関数と類似した公式が成り立っています。 ( {cosh(x)}^2 - {sinh(x)}^2 = 1 など ) そのあたりから考えると少し調整して f(x) = cosh(x) g(x) = i*sinh(x) がご質問の条件を満たすことがわかります。 ただし、複素関数になってしまいました。
お礼
ありがとうございます。初め見たときはピタゴラスの定理を調整しただけのものかな、と思いましたが、きちんと加法定理も満たしていました(失礼しました)。coshとcosの加法定理の符号が違うところがミソですね。ひっくり返して考えると、「『cosx』と『i・sinx』」は双曲線関数の2つの性質を満たすことになりますね。
- finalanswer
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「ピタゴラスの定理と加法定理を満たす関数」として、たとえば f(x)=1, g(x)=0 (x:すべての実数) が考えられます。 すべての実数x, yに対して (f(x))^2+(g(x))^2=1^2+0^2=1 f(x+y)=1 f(x)f(y)-g(x)g(y)=1*1-0*0=1 f(x-y)=1 f(x)f(y)+g(x)g(y)=1*1+0*0=1 g(x+y)=0 g(x)f(y)+f(x)g(y)=0*1+1*0=0 g(x-y)=0 g(x)f(y)-f(x)g(y)=0*1-1*0=0 が成り立ちます。 #三角関数に虚数は定義されるのかは、わかりません。
お礼
ありがとうございました。なるほど、確かに成り立ちますね!これはfinalanswerさんが独自に考えられたものなのでしょうか。それともこういう議論が既になされていて、知識として持っておられたのでしょうか。 ところで、この関数は「すべての角を0[rad]にリセットしてしまうcos, sin」と見ることもできますね。
お礼
ありゃりゃ、完全に「ご面倒でない範囲」を逸脱させてしまいましたね……。 申し訳ありませんでした。 しかし、どうしても理解したかったので、やはり質問して良かったです。 ご説明いただいた「実係数a_n, b_n」のところを 「複素係数z_n, w_n」などと置き換えれば、全く同じ議論が成立するのですね。 そしてこの議論は、 ピタゴラスの定理を初期条件、加法定理を連立漸化式と見立てたときの 一般項を求める作業に相当することにも気付きました。 本当にありがとうございました。