まず、前回の回答にありますように、慰謝料とて損害賠償の一形態にすぎません。よって、慰謝料の場合も前回の回答内容となります。
次に、補足内容に関してですが、それはもう法律の問題ではなく、科学、あるいは哲学の問題です。
以下に一例をあげてみます。
信号のある横断歩道を自転車で飛び出した人(以下A)が、走行してきた自動車(運転手を以下B)に跳ねられ、死亡しました。この時、自動車側の信号は青表示であり、それは事故車両の後方を走っていた目撃車両上の人の証言によって明らかでした(運転者は飲酒などの道路交通法上の違反は皆無であり、目撃車両の人物の証言は十分信頼できるものとします)。
このような場合、赤信号で飛び出したAの過失は重く仮に8:2とします。
ここで、実際にはAは死亡しているので主張できませんが、真実(誰も認識していないが、本当におこったこと)が以下の場合、
1)実は自転車側の信号も青表示だった(信号機が一時的に故障していた)
2)実は自転車は赤信号で停止していたが、目撃されていない第3者に無理矢理押し出された(殺人行為)
3)実はAは自殺するつもりでBの自動車の前に自分の意思で飛び出した(自殺)
これらの場合だと、事故に対する責任は
1)A,Bとも無過失(あるいは過失は極小)で、主たる責任は信号機の管理者やメーカーにあるのは明らかです。
2)故意による犯罪なので、A,Bについて事故(事件の)過失を論じるのは無意味です
3)Aの故意による行為なので、Bについて過失を論じることは無意味です。
しかし、実際はAが死亡しているので、上記のような主張や証拠の提出を行うことは不可能です。
よって、いずれの場合もBはいわれのない過失責任を負うことになりますし、Aの遺族も同様にいわれのない過失責任を負うことになります。そしてそれを防ぐために必要な証言や証拠をAから引き出すことは現時点では不可能です。
同様に、補足で上げられているケースでも、死者から“死者しか知らない事情”を聞き出すのは不可能ですし、知ることが出来ない事情をもとに、和解を勧めることも不可能です。
裁判制度も裁判官も万能でも無謬でもないので、このようなケースでは現実を受け入れてあきらめるしかありません。
補足
ありがとうございます。 素人ですみません。 こと慰謝料に関してもそのようなことになるのでしょうか。 慰謝料は場合によっては当人しか分らない事情(浮気であったり、法律上では厳密でないもの)などの場合は・・・ もっといえば当事者が生存していれば、裁判官が和解を勧告するような内容の場合もken200707の言われるような内容になるのでしょうか?