時間とは何か、を考えてみましょう。
時間には、2つの性質があります。時間は2種類ある、と言ってもいいかもしれません。1つは、座標軸としての時間、もう1つは、流れとしての時間です。座標軸としての時間は、光が進む距離として定義されます。流れとしての時間は、運動によって定義されます。運動がなければ、時間の経過、というものは意味を持ちません。時間の流れを保証しているのが光です。光はすべての観測者に対して同じ速さで進み、どの観測者から見ても止まることはありません。決して止まらない運動が存在することで、時間の流れが保証されます。
次に時間の向きですが、時間の向きはエントロピーが増加する向きとされています。これは経験的には、熱力学第二法則と言われているものですが、物理法則というよりも、確率の問題です。簡単に言うと、起こりやすい事が起こる、それを人間は時間の向きと認識している、ということです。
それでは、時間を逆戻りさせるとしたらどうすればよいでしょうか。すべての物質の運動を、ある時点でいっせいに逆転させることができれば、時間を逆戻りさせることができそうな気がします。そんな事は現実には不可能ですが、そうしたら本当に時間は逆転するでしょうか。残念ながら、時間は逆転しません。ビデオの映像なら、忠実に逆転していくでしょうが、現実の物質は、たどって来た道を正確に戻ることは不可能です。それは量子力学の示すとおりです。来た道を正確に戻れないということは、実際には起こりやすい事が起こり、それは、我々が時間の正の向きと認識している向きに流れることを意味します。
分かりにくい内容だったかもしれませんが、結論としては、時間の逆転は起こりません。
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大変 勉強になりました。ありがとうございます。