香料の正体が秘密のベールに隠されていることを悪用して、協和香料事件のような悪質な違法行為が行われました。この事件は企業側が「故意」に行った犯罪行為です。今回の事件が明るみになった影響で他の香料会社が法の遵守と体質改善をしてくれるものと信じていますが...
まず香料とは天然物から抽出した成分や化学合成品の混合物と考えてください。その中には一気にあるいは継続して大量摂取すると健康を害するものも含まれるのですが、香料の性質上あまり大量に摂取することは無いと思われるので多くの化学物質が認可使用されているのが現状です。でも分析装置で検出されないことイコール人体に影響が無いとは言い切れないのです。
香料のレシピ、すなわち各成分の混合比は企業にとって重要な財産であり、一般に公開されることはありません。また香料会社Aが作った香料を香料会社Bが購入して新たな成分と組み合わせて新規な香料を調製することも頻繁に行われています。
このように考えると、消費者が香料の正体を確かめ安全性の科学的根拠を見出すことは大変困難なのが現状と言えます。特に未知の微量成分の検出や定量は特殊な設備がないとなかなか難しいものです。企業側に法を犯す故意が無いとしても、「何が入っているか科学的に確認していない」原料を使っている以上、結果として法に引っかかるものや、時として健康を害する成分を含む製品を作らないとは言い切れませんね。香料の製造は医薬品製造時のような厳しい管理は行われていません。そのような厳しい生産管理をする義務が法律で定められていないのです。製品分析の基準や手法、判定方法も医薬品とは比べ物にならないほど甘いのです。飲食したり皮膚につけたりするのに、この点も恐い点ですね。
このような状況に不安を感じる方は多いと思います。私もそうです。化学の話から外れますけど、行政には香料会社の過保護よりも消費者の健康を保護するという見地から法整備を進めて欲しいと思います。
お礼
丁寧な回答ありがとうございました。 大変役に立ちました。