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日本の繊維業界の衰退と絹織物の生産
- 明治時代の繊維業界は日本のトップ産業だったが、現在は中国にその座を奪われている。
- 日本の繊維業界は新しい合繊の開発で技術力を発揮しているが、テキスタイル分野は壊滅状態。
- 絹織物は高級品であり、日本で生産しても海外に輸出できるはずだが、原因は不明。
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繊維業界に関係した事がありますので、断片的で不確かな部分も含み ますが、お答えいたします。 絹織物産業が、日本で衰退した理由として 1、市場のシルク離れ。 2、安価な外国製品の流通 3、原材料の入手困難 が大きな理由です。 1では、日本国内の和服離れが進み、 ナイロン等の素材がシルク製品の領域に大きく浸食が原因です。 確かに絹は高級素材ですが、同時に変色しやすく、虫に弱い、洗濯 しづらいという難点があり、その割には高価格だったためナイロン 等に市場が移ってしまったのです。 2、同時に海外各国で安価に絹織物が生産されると、服飾メーカーが 利益を上げるために生地の調達先をこれらの国々に変更してしまった ために、日本の絹織物の出荷が昭和30年代には大幅に下がって しまいました。 3、そして、それに連動して養蚕農家が金にならない養蚕をやめ、 儲かる果樹園栽培に次々と切り替えます。 原材料が国内で困難になると日本の絹織物メーカーは、材料を海外に 求めるようになりました。それでは値段のうえで海外製品には とうてい太刀打ちできません。 こうして、利益の少ない絹織物産業は日本から減っていき 現在の世界5位、世界生産量2~3%までに堕ちました。 と、ここまでの背景歴史は質問者さんもよくご存知でしょう。 根本的な原因は、やはり・・・ 日本は昭和20年代まで絹織物しか生産せず この素材を使った商品価値の高いスカーフや洋服を製造・世界に販売 できる産業を育成しなかったことにあります。 1950年代まで絹を使った商品製造は欧米の企業が行っており 日本は材料の絹しか供給しなかったのです。 そのため、欧米の企業が材料の絹を安い日本以外の物に切替えた途端、 品質はいいが誰も買わない絹が日本に残ってしまったのです。 戦前、確かに絹織物は儲かりました。 しかし、そのため「品質のいい絹さえ作っていればいい」という思考 から抜け出せず、その絹を使った製品作りを怠ったことが 日本の絹織物産業衰退の主因であり、そういう意味では質問者さんの 言うように 「過去の栄光から抜けきらないというのが原因」とも言えるでしょう。 日本の繊維メーカーは、市場の大きい合成繊維の分野に鞍替えし 80年代に入って、ようやく日本製ブランドの確立に乗り出しました。 しかし、技術的な信頼感は世界市場で得ても、デザインやブランド力 ではまだまだ欧米と差があります。 日本各地の絹織物業も、80年代に入ってようやく魅力的なデザインの 絹織物製品の開発に乗り出しましたが、絹本来の繊細な素材もネックと なり、模索の段階から抜け出していないのが現状です。
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- bossnass
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私が繊維業界で働いていた時は、合繊を素材とした生地の 開発・デザインを担当していたので、絹に関しては横目で見ていた 程度なのです。 たぶん、質問者さんの方が詳しいような気もしますので、 気おくれしながら答えさせていただきます。 >機屋さんが撚糸工程や染色工程までも手掛け、ラインの自動化を 図って、欧州のデザイナーズブランドと契約するという可能性は? >生地については生産方法の合理化で何とか頑張れるような気が? ・・・すでにトライされた機屋さんや商事会社がありました。 海外の材料を輸入し、日本で生地にして、縫製や仕立てを別の国で 行い、欧州のブランドで売る。 シルクでは、実例を挙げられませんが、Tシャツの分野ではすでに その状態で世界中に流通していますよね。 アメリカで買ってきたTシャツの古着を喜んで着ている日本人は それがMade In China&Japanだとどのくらい知っているか?と よく出てくる笑い話ですが。 シルクもすでにその動きがあるとは思いますが、いかんせん川上・川中 の部分って、そんなに利益率が高くないんですよね。 やっても儲からないので、撤退する企業も少なくなかったと思います。 >日本製の生地であれば、スカーフの価値を高めると思うのですが? ・・・中国製は、確かにブランド力は低いですが、品質に関して言えば 20年前とは比較にならないほど向上しています。 最近、中国製品の粗悪さが問題視されてますが、日本や欧州の企業 の傘下にある中国企業はそうでもありません。それに・・・ エルメスが認めれば、生地が日本で作られようが、アフリカの奥地で 作られようが、消費者はどうでもいいことなのです。極論ですが。 結局、デザイン・ブランド力を持った所(企業や国)が一番儲かる 仕組みになっているのです。 現在、服飾製品に限らず、様々な工業製品は複雑な製造行程を経て 世界中の消費者の元に届けられます。 GAPやユニクロは、既にMADE IN USA・JAPAN・CHINAには納まらない グローバリズムのまっただ中にあります。 >そこまで頑張る機屋さんがいないのでしょうかね? >それとも問屋さんが怖いんでしょうかね? 規制緩和策の影響と、少子化や労働力不足もあり、日本の機屋さんたち も生き残りをかけて必死です。 京都、一宮、愛媛、群馬等の機屋さんたちの工場に行くと、 働いている人達に南米や中国からの出稼ぎ労働者の姿が目につきます。 グローバリズムは、ある意味厳しい国際競争の場でもあるようです。 すいません。あまり的確な答えになってませんね。
お礼
ありがとうございます。 だいぶ頭の中が整理できました。 実は、このテーマで論文を書こうと考えており、質問させていただいた次第であります。 また、詰まったら質問させていただくかと思いますので、その節はよろしくお願いします。
お礼
ありがとうございます。 非常に勉強になります。 では、仮に機屋さんが撚糸工程や染色工程までも手掛け、ラインの自動化を図って、欧州のデザイナーズブランドと契約するという可能性はあるのでしょうか? 糸は、合繊に関しては日本の大手企業の独断場ですが、シルクに関してはブラジルとかから安いものを輸入することが出来ますよね。 しかも、平成17年より自由化されたので機屋さんが直接仕入れることも可能な訳ですよね。 最終製品のデザインの差は確かにおっしゃるとおりだと思いますが、生地については生産方法の合理化で何とか頑張れるような気がするのですが・・・ 私は、例えばエルメスのスカーフの生地は中国製ですが、縫製がパリなのでメイドインパリとなっている訳ですが、生地がどこで作られてるか殆どの消費者は知らされていません。 やはり、中国製の生地ということは商品イメージにはマイナスなんです。でも、日本製の生地であれば、それ自体もスカーフの価値を高めると思うのですが。。。 そこまで頑張る機屋さんがいないのでしょうかね? それとも問屋さんが怖いんでしょうかね?