確かに写真やコピーで写し取ったように絵を描く事は、ある意味スゴイ事だと思います。
特に、No4さんが回答されている「スーパーリアリズム」の作品はスゴイと感じます。
しかし、私的には「スゴイ!」と感じるだけです。ある一瞬、ある瞬間を完璧に、正確に記録・伝達しているという事以上には感じられません。
それから、色彩にしても遠近感にしても完璧に記録されているはずなのですが、不思議と立体感が感じられず、平面的だなぁ~と感じます。
ですので、質問者さんが言われているように、【機械的に写し取る作業をしているだけのような気がするのです】という考え方に、私も同感です。
これまで、色々な絵画展を観てきましたが、たとえばゴッホの作品「種まく人」。幅1cm、長さ3cm位の色のついた直線を並べているだけの作品に、太陽の光の強さ、迫力、生を感じます。「うわぁ~!!生きてる!!。太陽がギラギラしてる!!スゲェ~!!」。
ゴッホの凄さ、ゴッホにとっての黄色という色の意味を感じ取れた気がしました。
また、17世紀頃(バロック時代)の作品に多いのですが、近づいて観てみると、直径数ミリの色の付いた丸を3ツ並べているだけなのに(串団子のような感じ)ある距離離れて観ると、農作業をしている人の姿に見えたり、のんびりと草を食べている牛に見えたりします。そして、動き、生きている感じがします。
それから、クロード・モネの作品「日傘の女性、モネ夫人と息子」ですが、画面自体は完全にぼやけているのですが、季節感、風の向き・強さ、温度、湿度、草の香り、その時の心地良さ等、日常私達が何気なく五感で感じている自然の状況を、すべて感じ取る事が出来ます。
さらに、ピカソの作品、「泣く女」。キュビズムと言われる描写で描かれた絵画ですが、「なんだこれ???」が第一印象です。
しかし、じっと観ていると、物凄く悲しい、物凄く辛い、物凄く悔しいといった感情が、間違いなく伝わってきます。口にくわえているハンカチを、今にも食い千切ってしまいそうなほどの強い感情と、今にも大声で泣き叫ぶのでは?という状況を・・・。
そして、最後に1500年代に描かれた一枚の肖像画。
当時の画家にして文筆家、そして建築家であるジョルジョ・ヴァザーリが
『美術がどれほどまでに自然の真実を模倣する事を出来るかが知りたければこの作品を観ればよい。彼女の目はまるで生きているような輝きと潤いを持ち、まるで生身の人間を眺めているような思いがし、まさに生きた皮膚を持ち、生きた人間の姿そのものである』
と評しています。
この作品が、知らない人はいないであろう、レオナルド・ダ・ヴィンチの作品「モナ・リザ」です。
「モナ・リザ」の絵画を自然の光の中で観ると、観ているうちに、頬がうっすらとピンク色に染まってきて、唇と眼が潤ってくるのだそうです。ようするに、体中に血が通い、まさに生きているかのように見えるのだそうです。
繰り返しますが、「写真」「写真やコピーで写し取ったかのような絵」というのは、やはり機械的な作品だと感じます。記録とか伝達という事になると思います。私には、生とか命といった事が感じられません。体温、皮膚の柔らかさ、弾力性、息づかい等が感じられないという事です。
素人の私ではうまく説明が出来ないのですが、芸術性が無い、感じられないという事になるのかな?と思います。
それから、写真の世界(あるいは写真的な作品)は、直線的に感じます。平面的という事にもなると思います。絵画の世界は、写真の世界に比べると立体感を感じます。そして、見えていない部分、ようするに描かれていない向こう側の状況・形を感じ取れるように思います
写真は単眼視で物を見ている世界、人間は複眼視で物を見ている世界。複眼視の世界を表現する事は、非常に難しいのではないかと思います。
お礼
「スーパーリアリズム」はじめて知りました。まるで写真のようですごいですね、驚きです。