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(スピン演算子で)磁性の判定をするには?
正規化された波動関数|Ψ>が与えられた時に、その状態が強磁性か、常磁性か、はたまた反強磁性かを調べたいと考えています。 全スピン演算子S=(Sx,Sy,Sz)としたとき、Stot=<Ψ|S^2|Ψ>を調べれば、強磁性かどうかはわかります。問題は、Stot=0の時に常磁性なのか、反強磁性なのかが分からないということです。 単純に考えて、「全スピン演算子の二乗」ではなく「局所位置でのスピン演算子」について計算すればいいのではないだろうか?と考えています。具体的には、各サイト位置で<Ψ|S|Ψ>=(<Ψ|Sx|Ψ>, <Ψ|Sy|Ψ>, <Ψ|Sz|Ψ>)を算出してみました。 しかしながら、結果を見ると、どうもおかしいように思えます。 以下に行った計算例を挙げます。 例: |Ψ>=A(|↑↓>-|↓↑>) A=1/Sqrt(2) この波動関数のStotは0になりました。ですので、強磁性ではありません。 しかし<Ψ|S@1|Ψ>=(0,0,0) <Ψ|S@2|Ψ>=(0,0,0)となってしまいます。 S@1はサイト1に作用する演算子という意味です。 よろしくお願いします。
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僕も例に挙げてあるのは良くわかりません。2電子の問題で強磁性や反強磁性ということもありますが、あくまでもそれはStot=1ならトリプレットを組んでいて、Stot=0ならシングレットを組んでいるとしかいえないと思います。強磁性などをみるには統計力学でやる平均場近似などでみるように多体系を扱わないといけません。一般には相関関数または帯磁率の発散から磁気秩序の不安定性を判定します。また常磁性と反強磁性の違いは長距離秩序があるかないかです。よって2電子系を扱ってStotで判断するのは無理だと思います。常磁性状態でも短距離秩序は発達していて(つまりStot=0のペアが部分的に存在)それが積もって長距離秩序になり秩序状態(例えば反強磁性)になります。それは帯磁率の発散という形で観測できます。
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- atomicmolecule
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二つのスピンの合成の例は意図が分りません。 磁性とは無限にある格子点上のスピンが相互作用した結果としてでてくる協調現象です。一つ、二つのスピンの平均値を見ているだけではそういった事は見えるはずがないと思うんですが,どう考えているんでしょうか。 通常は異なる格子点上のスピンの相関を見ると思います。距離が離れたスピン同士の相関があればこれは協調現象で磁性につながります。 つまりいくつでも、単なるスピンの合成をした波動関数から磁石の性質などは出てこないと思います。私は素人ですから、間違っているかもしれませんが、理解できなかったもので書きました。
補足
> 二つのスピンの合成の例は意図が分りません。 あるハミルトニアンHを考えます。で、1次元で2サイト1Up Spin 1Down Spinの電子系を考えます。基底状態を|Ψgs>として、基底を{|Φk>}(K=1,2,3,4)と書けば、|Ψgs>=ΣAk|Φk>となります。 ここで、基底を具体的に書けば以下のようになります。 (ただし、同じサイトにUp SpinとDown Spinの両方がいる場合をSと書き、Up Spinのみの場合はUを、Down Spinのみの場合はDを、何もいない状態を0と書くことにします) {|S0>, |UD>, |DU>, |0S>} 電子の状態は上記のいずれかの筈です(つまり完全基底)。 係数Akが計算によってもとまったとして、たまたま|Ψgs>=A|UD>-A|DU>となった場合が例としてあげたケースです。 (A=1/Sqrt(2)) そして、この基底状態に対して「磁性はどうなるんだろう?」というのがそもそもの始まりでした。で、上記のような例を挙げたしだいです。 > 通常は異なる格子点上のスピンの相関を見ると思います。 スピンの相関というのは、どのように計算するものなのでしょうか? もしよければ、演算子の形、参考文献or教科書とか教えていただけないでしょうか?
お礼
まとめてこちらに書かせて頂きます。 「帯磁率」等々でいろいろ検索した結果、 Journal of the Physical Society of Japan Vol. 70 No. 10, October, 2001 pp. 3052-3067 「Magnetic and Metal–Insulator Transitions through Bandwidth Control in Two-Dimensional Hubbard Models with Nearest and Next-Nearest Neighbor Transfers」 に私の知りたいことが載っていました。 この論文に沿って計算していけば何とかなりそうです。 どうもありがとうございました。
補足
>僕も例に挙げてあるのは良くわかりません。 上記の例を挙げた理由は、No1さんの補足に書かせていただきました。 補足に書いたように、一応この例であげた波動関数は多体波動関数を厳密に解いたものとしています。 > よって2電子系を扱ってStotで判断するのは無理だと思います。 一般の多電子系ではStotが最大となる時強磁性状態だと言ってしまうのは言い過ぎなのでしょうか? もっとも、これではStotが最大の時しか判定ができませんが・・・。 ↓------------------------------------↓ 一般には相関関数または帯磁率の発散から磁気秩序の不安定性を判定します。また常磁性と反強磁性の違いは長距離秩序があるかないかです。よって2電子系を扱ってStotで判断するのは無理だと思います。常磁性状態でも短距離秩序は発達していて(つまりStot=0のペアが部分的に存在)それが積もって長距離秩序になり秩序状態(例えば反強磁性)になります。それは帯磁率の発散という形で観測できます。 ↑------------------------------------↑ 「長距離秩序があるかないか」がまさに私の知りたいことのようです。 そして「スピン相関関数」「帯磁率」が「長距離秩序の有無」を判定するキーワードということでしょうか(?) 現在まだ私の「帯磁率」に対する理解が足りていないので、「帯磁率 Hubbard」で検索したところそこそこ資料が出てきました。現在資料を読んでいるところです。少々お待ちください。