海域における富栄養化とは、硝酸イオンなどの窒素化合物やリン酸イオンなどのリン化合物の栄養塩濃度が高くなることをいいます。
富栄養化による被害として有名なのが、瀬戸内海などの閉鎖性水域による赤潮によるものでしょう。赤潮は、鞭毛藻類などの植物プランクトンの大量発生によるものです。
この鞭毛藻類は、光合成も行いますが運動性もあり、さらに毒性を持つものが多いのです。これにより、ハマチなど養殖魚の大量死滅などの問題が起きました。
また、光合成による有機物生成による水質汚濁が進行するということで、瀬戸内海などの閉鎖性水域における窒素やリンの量を削減しようということで、第5次総量規制において、窒素やリンの特定事業所に対する排出量の削減計画がスタートしました。
以上が海域における富栄養化に対する大まかな一般論です。
本来これらの栄養塩を植物が利用して増殖し、それを捕食する動物がいて、さらにそれを捕食する大型の動物がいるといった食物連鎖があります。そして、栄養塩豊かな海域において、植物プランクトンが発生し、動物プランクトンが捕食し、それを小型魚類が餌にし、さらに大型魚類が繁殖し、豊かな海域を形成していたのです。そういった生態系を形成していた生物層とは異なった毒性を持つ鞭毛藻類などが優勢になってしまう生態系異変に問題があると私は考えています。
また、埋め立てなどの沿岸域開発などによる藻場の減少もその一因であろうと思っています。
瀬戸内海において、富栄養化が進行しだしたといわれる以前の水質データを今探しているのですが、まだ見つかりません。栄養塩が増えたという根拠が示されていないのです。
考えてみてください。
栄養塩がなくなると植物は育ちません。すると、魚たちも暮らせなくなります。私は栄養塩が増えたというよりは、生態系の多様性が失われてきたことが問題ではないのかと思い始めています。
最近もてはやされている栄養豊富な海洋深層水の栄養塩は、瀬戸内海よりも高いですよ。
お礼
詳しい回答ありがとうございました。やはり湾内で処理するには、生態系異変を元の正常な状態にもどすしかないのでしょうか?また別の方法があれば教えてくださると幸いです。