こんにちは。
「大気の厚さ」という言葉は科学の分野ではあまり使わないのですが、「大気圏とはどのくらいの高さまでか」と言い換えて見ましょう。この言い方でも実はいろいろな定義のしかたがあって良く議論になるのですが、つぎのような説明ではいかがでしょう。
ポイントとしては、「“宇宙より下”という意味ではだいたい100kmくらいかな・・」
さて、大まかに次のような説明が言えます。
(1) 概ね10km~20kmまで
他の方の説明にもあるように、対流圏という考え方です。空気が、「当たり前の」空気として働く高さであり、「暖かい空気が上に行く」(対流)、素速く翼を動かせば浮力になる、生き物にとっても(体のつくりが適応した一部の生き物まで含めれば)何とか呼吸もでき、装置で圧縮すればなんとか物を燃やす(ジェットエンジンを回す)こともできる範囲です。季節・気象により影響があり、対流圏の上の「成層圏」(対流せず空気が安定した横層状になっているといわれていますが、実際には上下方向の動きがないわけではない)の一部も混同させての区分ではありますが、概ねこれ以上になると普通に言う空気としての動きが乏しくなり空気を圧縮してエンジンを回すことも困難になります。
(2) 概ね100kmまで
宇宙条約で「宇宙」と決められた高さ以下のところです。通常、「大気圏」は、「宇宙」の反対語的に使われますので私は素人向けの説明などにはこの高さをよく使います。もちろん、「宇宙」の定義も使用分野によって少々異なりますが、基本的には「物体がいくら高速で動いても気体として発生する揚力・抵抗力が極端に小さい」という高さです。この高さで翼のある飛行機(スペースシャトルなど)を極端に高速で走らせても「摩擦熱」ばかりが生じて揚力はあまり生じませんし、翼の一種であるプロペラが効かないので空気を圧縮して物を燃やすこともできません。その一方、この高さに程度の低い衛星はわずかな抵抗が積み重なって地球を数回回ると落ちてきてしまいます。
(3) 概ね1000kmまで
一応、空気(気体)の分子がわずかながら存在する高さです。もちろん、遠く離れた宇宙でも「完全な真空」はない(冷蔵庫くらいの空間に原子1個くらいはある)ので境界はあいまいですが、1000Kmくらいの高さではこれに比べれば極端に原子・分子数が多く、太陽からの放射線などによって原子・分子が分解されて、「電離層」という特定の電波を反射するはたらきが生じたり、オーロラという形で光を発したり、物理学的な「気体のはたらきの特殊な現象」が観測できます。
さて、いかがでしょうか。
お役に立てば幸いです。
お礼
大変詳しい説明ありがとうございます。分かりやすく勉強になりました。