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Aさんの字をBさんがフォントにしたら著作権は?
たとえば、明らかに個性的な文字を書くAさんという人がいたとして、 それを素敵だと思ったBさんがいたとして、 Bさんが、Aさんの字をほぼ再現したフォントを作ったとします。 それをサイトで公開したりします。 この場合、著作権というのは誰のものになるのでしょうか。 もしそのフォントから利益が生じる場合、どういう配分で 利益を受け取るという法律上の定めはあるのでしょうか。
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回答を投稿した後で気づいたので補足します。 No.3の回答で引用されている著作権法65条は、共同著作者に関する規定です。「共同著作物」とは、ある作品の創作性について2以上の者が寄与している場合に、これを分けることが不可能な場合をいい、その者のことを「共同著作者」といいます。 たとえば、有名な例では、「藤子不二雄」というペンネームは、藤本弘氏と安孫子素雄氏の共同ペンネームです。『オバケのQ太郎』は藤子不二雄名義で、かつ両者の合作であるといわれていますから、これは共同著作物です。他方、藤子不二雄名義でも『ドラえもん』は藤本弘氏の作、『プロゴルファー猿』は安孫子素雄氏の作とのことですから、これらは共同著作物ではありません。 (もちろん、実態は知りませんから、中には共同著作物といえる部分があるかもしれませんが、あくまで例として。) なお、漫画の場合でも、小説を漫画化するとか、原作/原画と役割分担する場合は、二次的著作物の関係になります。上記『オバQ』は、役割分担のない完全な合作(を目指した)と聞きますから、共同著作物とみて良いでしょう。 今回の場合、「書」という著作物と、これに基づく「フォント」というプログラムの著作物は、一体不可分ではなく、明らかにその創作性の範囲を分けることができますから、今回のケースと共同著作物の規定は関係ありません。 二次的著作物に対する権利関係は、基本的に27条、28条のみで完結します。
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- Yorkminster
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追加でご質問の件について回答します。 たとえば、Aの書いた文字が「書(a)」として著作物性を満足しているときに、Bがこれをフォント化した(b)場合とします。 1. AとBが創作した範囲について この場合、この「フォント(b)」は、この「書(a)」に依拠して作られています。当然ですが、「フォント(b)」は「書(a)」をそっくり真似しないと意味がありませんから、「文字の美しさという創作性」に関しては、Aだけが寄与したことになります。 他方、No.1の回答で述べたとおり、「フォントというプログラム」はプログラムの著作物に該当する可能性があり、その「プログラム化という創作性」に寄与したのはBで、Aの寄与はありません。 したがって、「フォント(b)」は「書(a)」に依拠したものであるが、その創作性への寄与はプログラム化したという範囲にとどまる、ということになります。 2. 他人の著作物に依拠した著作物(一般論) 一般に、他人の著作物に依拠して、新たな創作性を付加した著作物のことを、二次的著作物といいます。単に手を加えただけではダメで、その変更に創作性があることが必要です。 二次的著作物を作る権利は、もとの著作物の著作権者のみが有しますから(著作権法27条参照:翻案権などという)、B(を含むA以外の者)が勝手に作ることは許されません。したがって、他人の書を勝手にフォント化する行為は、著作権の侵害に当たります。 (ただし、書の著作権を侵害して作られたフォントであっても、フォントの著作権自体はフォント化した者に帰属します。単に、フォントの著作権の権利行使が許されないだけです。つまり、後で合意に至り、適法に販売できるようになれば、また完全な権利としてフォントの著作権が行使できるようになります。) 二次的著作物について、そのもとになった著作物の著作権者は、その二次的著作物の著作権者が有するのと同一の権利を有します(著作権法28条参照:二次的著作物利用権などという)。かみ砕いていうと、小説Xをもとに映画Yを制作した場合、Yを複製したり上映したりレンタルしたりするには、Yの著作権者だけでなく、Xの著作権者にも許諾を求めなければならない、ということです。 3. ご質問のケース 上記 2 を、上記 1 に当てはめて考えます。 この場合、「フォント(b)」は「書(a)」の二次的著作物ですから、たとえばCが「フォント(b)」を複製・販売などするに当たっては、BだけでなくAの許諾も必要になります。 他方、A自身も、Bが寄与した創作性にただ乗りできるわけではなく、A自身が「フォント(b)」を複製したりする際にはBの許諾が必要です。 ただし、ここで注意しなければならないのは、1 で述べたとおり、「フォント(b)」に対するBの寄与は、プログラム化したことにとどまります。したがって、「フォント(b)」を用いることなく「書(a)」を利用する場合は、Aの許諾だけで良いことになります。 4. 利益配分など 上記 2 で述べたように、「フォント(b)」をAの許諾なしに作ることはできません。仮に作って販売した場合は、Aの損失は、「書(a)」のライセンス料(実施料)相当額、ないし仮にA自身が「フォント(b)」を作成して販売していれば得られたであろう利益の額、ということになります。したがって、この額が損害賠償請求のできる額ということになります。
- sommeil
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1さんのご回答と、『「書」として成立しているような場合』をふまえての続きですが、 作られたフォントは二次的著作物となり、AさんとBさんがともに権利を持ちます。 (著作権法28条をご覧ください) そして権利行使は、AさんBさんともお互いの了解を得なければ行うことができません。 (著作権法65条をご覧ください) 利益の配分について合意に達することができなければ、両者とも権利を行使できません。
- Yorkminster
- ベストアンサー率65% (1926/2935)
字体(正確にいえばタイプフェイス。要するに字の形)に著作権は発生しないというのが、現在のわが国の判例・通説です。何らかの法的保護を与えるべきであるとの議論はされており、それほど遠くない将来立法がある可能性はあると思われますが、現在では保護されません。(判例によれば、純粋美術と同視しうるほどの美的特性を備えた字体、たとえば「書」のような場合は、著作物として保護される旨を述べています。したがって、単にカッコいいとか個性的という程度では、著作物としての保護は受けられません。) ただし、コンピュータープログラムの一種として作成されたフォントであれば、プログラムの著作物として保護される旨を判示した裁判例もあります。 今回の場合、フォントを作成したのはBですから、Bがフォントに対する著作権を取得することになります。 Aは、一般人の場合、なんらの請求もできないものと思われます。実質的に損害が発生していないからです。 他方、Aが著名な書道家やロゴ製作者で、その字体によって利益を挙げている場合、Bがその名声なり著名性にただ乗りすることになりますから、民法703条以下により不当利得返還請求、民法709条以下により損害賠償請求が可能かと思われます。ただし、差止請求に関しては認められない可能性があるでしょう。
お礼
ありがとうございます。 そうなるんですか・・・。 ちょっとびっくりです。 考えてみればAさんのものを元にしたという証拠もありませんしね・・・。 重ねて申し訳ないのですが、では、現行法で保護されているようなもの だったらどうなるのでしょうか。 たとえばその「書」として成立しているような場合、 特段、契約などしていなければどうなるのでしょうか。
お礼
丁寧なご回答たいへんありがとうございます。 よくわかりました。 二次的著作物という整理になるのですか・・・。