最適pHについて。
酵素の実体は、たんぱく質です。たんぱく質は、ご存知かもしれませんが、
20種類ほどのアミノ酸が特定の配列でつながったヒモのようなものです。
このヒモが、ヒモの構造的な制約, 側鎖の性質, 周辺の環境で、ある立体構造を
とります(その他、糖鎖による修飾や、複数のたんぱく質が結合したりと、
いろいろあるようですが省きます)。
この立体構造をとることで、基質が酵素の一定の部分(活性中心)に結合して、
酵素は触媒の機能を持ちます。
酵素に最適pHがあるのは、pHによってこのアミノ酸側鎖のかい離状態が
変わることによって、基質が結合する部分(活性中心)の性質が変化したり、
立体構造が微妙に変化するためではないかと考えます。
また、NADやATPの場合、基質の状態もpHにより変化します。
蛇足ですが、pHを極端に変えると、たんぱく質の立体構造が不可逆的に
変化します。
(例 牛乳に酢を入れるとヨーグルトのようになる。)
緩衝液を用いる理由
酵素の反応速度は、上記のようにpHに影響されますので、反応速度を測定する際
に、どこでだれが測定しても、同様な測定結果がでるようにpHを一定に保って
測定を行う必要があります。
そこで、緩衝液を使用して、pHを一定にして測定を行います。
shu_sさんのおっしゃる通り、反応によるpHの変化よりも、添加する基質による
pHの変化を防ぐのが主目的だと思います。