航空機運用が可能という意味で空母と捉えると範囲がものすごく広がるので質問の意味が1940年以降に海上投射可能な航空機運用艦船で各任務に対応可能な航空機の部隊を運用可能という条件でいこうと思います。
諸賢の方々がお答えになられているように、海上自衛隊は航空母艦をもっていません。持つ予定もありません。
現在海上自衛隊はヘリコプターを運用可能な護衛艦を四隻、ヘリコプターを搭載可能な各種艦艇を30隻前後保有しています。対潜水艦戦に特化していると言われている(ここ十年で対水上、対空とバランスよくなっていますが)海上自衛隊は空母を持つ戦略的必然性に薄いのが現状です。周辺海域での航空支援が必要となるときも、本土からの応援で間に合います。また「おおすみ」級輸送艦は一見空母に似た外見ですが固定翼機を運用する能力はまったくありません。ハリヤーを強引に飛ばそうと思ったら甲板が一発でだめになります。レーダーや指揮所その他もろもろを考えても改造するだけ無駄です。
だいたい空母は滅茶苦茶金がかかる船です。アメリカの場合ですが原子力空母の建造に40億ドルほど、航空機の取得にだいたい同額、運用費に年間10億ドル以上はかかります(ソース失念)。イギリスの新型空母計画では二隻の取得に100億ドルほどと言われています。
空母は一隻だけ持っていても飾り以外の役には立ちません。訓練や整備のスケジュールなど複数隻もっていないと体制に穴があくからです。現在の海上自衛隊の護衛艦隊群も各種スケジュールの消費で常時戦力を発揮できるのは4個中1個と言われています(テロ特措法によるインド洋派遣の関係でローテーションもごたごたしていた時期もあります)。また人間の数も足りません。ただでさえ定員一杯の隊員を持つことすら予算上認められていない上、現場の人手不足もあり一部の艦船では充足率7割を切っているところもあるようです。アメリカのニミッツ級空母は乗組員や整備、パイロットを含めると5,6000人必要とされていますが海上自衛隊ではその人数はほぼ護衛艦隊群全力に匹敵します。中型空母にするとしても人数が劇的に減るでもなく、運用費用で海上自衛隊は崩壊します。
フランスでは現に原子力空母を取得するため並々ならぬ努力を払っていますが、そのため駆逐艦やフリゲートをなかなか更新できず、30年以上つかっている船もざらです。もっとも空母戦力自体は国益を守るため大活躍しているようですが。タイも空母を保有していますが予算不足のため動かすことができないでいます。
空母を保有する戦略的必要性にはとぼしい海上自衛隊ですが、空母よりもコピー用紙や業務用パソコン、水虫用治療薬の拡充こそがもっとも必要ではないかとおもいます。
お礼
空母は複数隻もっていないと役に立たないのですか…!!初めて知りました(汗)。人員不足は聞いたことがあります。お金もかかるんですね。やはり無理ですか…じゃなくて必要ないんですね。あっても予算不足で運用できないんじゃ話にならないですし。回答ありがとうございました。