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シャドウ・ワークについて。
イヴァン・イリイチの「シャドウ・ワーク」論について、その理論の内容や特色を説明できる方、是非お教えてください。シャドウ・ワークに関するお薦めのホームページ、書籍など、理論の説明以外でも構いません。お願いします。
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なつかしいですね。イリイチ。私が大学生時代に社会学でやらされました。 簡単に解説しますと、 近代資本主義社会では、家族を離れたお金・物・サービス・労働のやりとりの場を「市場」と呼びます。市場における労働の特徴は、 1.労働に見合った代価が支払われる。 (タダ働きをする人はいないし、何かしてもらえば対価を支払わなければならない) 2.労働は計算される。 (働けば働くほど、熟練すればするほど代価が多くなる) 3.労働は競争にさらされる。 (辞めれば誰かがそこに入る) というものです。 ところが、家族の内部で行なわれる労働=家事労働は、 1.代価が支払われない。 (家政婦のように月給をもらえるわけではない) 2.家事労働の質や量が計算されることはない。 (どこまでが家事労働か休息かが曖昧) 3.競争がない。 (家事が下手でクビになることはないが、辞めることもできない) という特徴があり、 過去の経済学の市場交換モデル(マルクス主義経済学でも!)から抜け落ちた経済活動であることを指摘したのが、イヴァン・イリイチです。 彼は家事労働以外にも、学生の試験勉強や通勤・押し付けられた消費ストレス・完了への従属などの「支払われない労働」を「シャドウ・ワーク」と名づけました。 彼の貢献は、これらのシャドウ・ワークが前近代社会的な遺物ではなく、近現代社会の市場経済が機能するためには、シャドウ・ワーク=「産業社会が財とサービスの生産を補完するものとして必然的に要求するもの」と位置付けたことにあります。 彼のこの理論は1980年に発表されて以後、女性学(フェミニズム)に大きく影響を与えていきます。ですから、女性学の本や社会経済学で労働を論じた書物をあたれば、大体つかめると思います。ちなみにあの本自体は訳がこなれていないために、大変読みにくいと私は思いますが、一読の価値はあります。 参考図書をあげておきます。(ネタ本です。) 「ジェンダーの社会学」 江原由美子・長谷川公一・山田昌弘・天木志保美・安川一・伊藤るり著、 新曜社刊、ISBNコード:4788503395、定価2400円。
お礼
お答えありがとうございました。わかりやすい説明でしたので、理解し易く大変助かりました。参考図書としてあげていただいた「ジェンダーの社会学」さっそく本屋に探しに行こうと思います。ありがとうございました。