グラファイトは、無数のベンゼン環がつながった構造となっています。つまり、ベンゼンにおいて、炭素原子がHと結合するかわりに、別のベンゼン環と結合を作っていると考えて下さい。
炭素原子は基本的に4本の結合を作りますが、この様にしてできる平面状のグラファイト分子において、その結合手はずべて使われていることになります。ただし、形式的に考えるならば、その中には二重結合も含まれています。
すなわち、グラファイトにおいては各層が単一の分子であり、各層間に化学結合は形成されません、各層間に働くのは通常の分子と同様に、分子間力だけです。そのために、グラファイトの分子は層状にはがれやすいと言えるでしょう。
ただし、通常の分子と異なり、巨大な分子ですので、接触面積も広くなり、分子間力も非常に大きくなっています。そのために、各層が別の分子でありながらも、それぞれが勝手に動き回ることはなく、位置が固定されています。
なお、π結合自体は特に関係ないと思いますが、分子間力の作用する方向にπ電子が伸びており、それらが接することになりますので、それらの相互作用はあるかもしれません。