私は設計事務所です。3~4名のスタッフと仲間の事務所などといっしょに仕事をしています。
(1)仕事は「良い住まいを作りたい。」と思う一般市民から相談が寄せられますが、いつも忙しくて困っています。人を増やしたとしても良い住まい造りができる訳ではなく経営面の心配が大きくなるばかりなのであまり人は増やさない。
(2)役所の仕事もたくさんありますが、役所の仕事はあまりやりたくない。それは私の考えが「一般市民の住まい作りを市民といっしょにする。」ことが楽しくてしかたないからです。(実際には、少ない予算を如何にして有効に使って良い住まいを作るかということを常に依頼者といっしょに考えているから実際に設計している時にはものすごく苦しい。)でも、完成したらその家族といっしょに喜び合っていつまでも親戚付合いのようになるので、楽しくてたまらない。
(3)土地をいっしょに探すことから始まります。素人では土地の見方が解らない。せっかく購入した土地が実は都市計画法や建築基準法によって平屋建てしか建てられないなどのことも良くある。専門的なことを十分に知っている設計者が土地を買う人に協力しているのですからその地域の土地価格も知っている上に不動産屋などとの交渉も素人よりも圧倒的にうまいので素人だけで買う場合よりも大幅に安くなる。
(4)土地探しを助言する時には「造成工事した平坦できれいな土地は避けること。」を助言します。なぜかというと造成地は更地よりも圧倒的に高いからです。長方形でなくてもよい。少々の傾斜地でもよい。その土地の状況をなるべく生かしてそこに山小屋風の家を作れるではないか。I階が大人の寝室、2階が道路に面して玄関やリビング、3階が子供たちのスペースで2階リビングから吹抜けでつながっているような家なら傾斜地なら誠に有利だ。などという具合です。
(5)設計中にはその家族といっしょに1日中でも模型作りをしたりパースを書きながら打合せする。参考になる家を見学に行く、あるいは建材や設備機器などのショウルーム周りをその家族(子供もいっしょ)といっしょにして選んで行く。家族にとっては楽しい遠足のようなものです。
(6)設計図ができあがったら依頼者が工事業者を探すのですが、当然に設計者がいっしょになって探し、見積書が提出されたらその家族といっしょにチェックする。工事契約にも当然に立会う。だから、素人だけで不利な契約にはならない。
(7)工事中には工事業者がやっている工事を常に検査する。なるべくその家族にも検査したり業者との打合せに立会ってもらう。家族は大変に喜んで現場に行く。
(8)そのようにして、「家族が当初は夢に過ぎないと思っていたような住まい作りができるのです。」だから、設計料を含めても住宅メーカーなどで建てた家を買うよりも、また、設計施工で建ててくれという工務店よりも工事費に大きな差が出るし、何と言っても家族に(自分ラ家族の本当の住まい作りができた)という大きな大きな喜びが生まれるのです。
(9)設計するのですから当然に設計料(通常は工事費の8%~15%位)をもらいますが住宅メーカーと同じ内容の建物であるなら、設計料を含めても住宅メーカーの約70~80%位の費用になります。
設計事務所はどこも同じではありません。私の事務所はこのようなやり方ですからお客さんがそのつぎのお客さんを連れてくるという訳で忙しくなる一方ですからお断りせざるを得ないことも多いのです。それなら、人を10人・20人と増やせばよいと言われるかも知れませんが、そのようにしたら1ヵ月の給料や事務所家賃が膨大になり、毎月その収入を確保するために結局は住宅メーカーなどのような仕組みを作って「流れ作業的な仕事」をするようになります。そうなったら(お客さん家族といっしょにのんびりと打合せしたりショウルーム周りや土地探しなどできなくなります。