先日の質問で回答したように「Vollhardt Schore Organic Chemistry Third Edition」に出ています。
直接は「3-7 Selectivity in Radical Halogenation with fluorine and Bromine」部分ですが,「3-5 Other Radical Halogenations of Methane」辺りからジックリお読みになる方が良いかと思います。
簡単にいうと,塩素(Cl2)に比べて臭素(Br2)の方が水素引き抜きの反応性が低いので,選択性の差が臭素による方が大きく出てきます。
次式の ΔHo が塩素の方が小さい事から,水素引き抜き反応は塩素の方が容易であると分かります。
CH4 + Cl・ → ・CH3 + HCl ΔHo=+2 [kcal/mol]
CH4 + Br・ → ・CH3 + HBr ΔHo=+18 [kcal/mol]
一方,次式から,アルキルラジカルのハロゲン化の段階のエンタルピー変化は塩素でも臭素でも然程変わらないようです。
・CH3 + Cl2 → CH3Cl + Cl・ ΔHo=-27 [kcal/mol]
・CH3 + Br2 → CH3Br + Br・ ΔHo=-25 [kcal/mol]
結果,ブタンのモノ塩素化とモノ臭素化の反応性の差は水素を引き抜く段階で現れます。
水素を引き抜く力が強い塩素は多少引き抜かれ難い2級水素でも1級水素でもあまり差が無く引き抜きますが,水素を引き抜く力の弱い臭素は引き抜きやすい1級水素を引き抜く割合が高まります。
結果,塩素化に比べて臭素化の場合の方が選択性が高くなります。これは次の相対的反応性を示すデータに現れており,1級に対して2級の選択性が塩素では4倍なのに,臭素では80倍になっています。
RCH2-H Cl・ (25℃, gas) 1, Br・ (150℃, gas) 1
R2CH-H Cl・ (25℃, gas) 4, Br・ (150℃, gas) 80
お礼
なるほど・・・! かなり詳しく、わかりやすい説明ありがとうございます!!些細な質問にもこういう風に回答してもらえるとホント助かります!! ありがとうございます!!!