日本とロシアの間では、政治的にはやはり北方四島問題が未解決のまま存在していますので、急速な接近というのは考え難いと思います。
考えれば、つい10年ほど前まで、日本を攻撃してくる可能性が否定できないという 「仮想敵国」 だったわけですから、ロシアに対する日本人の距離感はなかなか縮まらないでしょうね。
日ソ不可侵条約を一方的に破棄し、終戦間際になって日本に攻め込んできて北方四島を占領したり、日本兵を捕虜にしてシベリアで強制労働させたりしたわけですから、日・ロ間に横たわる歴史上のトゲはなかなか抜けそうにありません。
ところが経済となると、話はグッと違ってきます。
「太平洋ルート」 による東シベリアの原油や天然ガスの日本向け輸出が近い将来に実現しようとしているし、またサハリンでの地下資源開発が急ピッチで進んでいますので、これらのエネルギー輸出が本格稼動すれば、日・ロ両国は経済的に急接近するものと思われます。
日本政府にとっても、現在エネルギーの中東依存度が年々高まっていますので、ロシアからの輸入で何とか均衡を取りたいと切望しているように思います。
ところで私見で恐縮ですが、日・ロ関係が改善し急接近した場合のアメリカの反応ですが、決して歓迎はされないように思います。
日本の経済力は侮れないないものがあると認識しているでしょうし、そこにロシアの資源が加われば、将来の可能性としてアメリカに対抗する大きな陣営ができるかも知れないと考えられます。
アメリカの立場にたてば
「日本はカネはあるが、エネルギーも無いし食料自給率も最低レベル、国民自体も日本人として尊厳も無く、もはや自立した独立国家として存続できる能力はない」
その一方
「ロシアはエネルギー資源は豊富だが、それを採掘して商品化する技術も資金もない。 また国家体制もまだまだ発展途上国。 ただ大国としてのポテンシャリティは極めて高く、アメリカにとって中国同様に無視できない相手」 と考えているように思われます。
日本とロシア、両国がお互いの弱点を補う関係が成立すれば、アメリカにとって最大の脅威になるかも知れません。
アメリカにとって、日本はアメリカだけに追随し、アメリカ抜きでは国家として存続できない体制が最も好ましい状態である事は間違いありません。
従って、日・ロが必要以上に接近した場合は、アメリカが横槍を入れてくる事は覚悟した方がよいと思います。
余談ですが、今、中国国内で反日運動が盛んに行なわれていますが、実はアメリカ在住の中国人がアメリカ当局の指示で反日の火付け役をしているという仮説もあります。
「そんな馬鹿な」 と思われるのですが、基本的に日中の関係改善を好ましく思わないアメリカ政府のやりそうな事だと言えるかも知れません。
お礼
回答ありがとうございます。 貴重なご意見、大変興味深く拝読しました。 >実はアメリカ在住の中国人がアメリカ当局の指示で 反日の火付け役をしているという仮説もあります。 真偽はともかく、リアリティーを感じさせる説ですね。 参考になりました!