- ベストアンサー
強い磁場の作り方
タイトル程高等な質問ではありませんが、磁石の玩具で遊んでいて思いました。電池は直列接続、並列接続というのがあって電圧を自由にコントロールすることができます。円柱形の磁石を直列方向に接続しても個数に比例して強い磁界がなぜ得られないのか良く理解できません。また磁石をどんなに並べてもある限界があるのでしょうか。大学で物理の授業をさぼっていたためこんなことも分かりません。よろしくお願いします。
- みんなの回答 (5)
- 専門家の回答
質問者が選んだベストアンサー
私は磁性材料技術者ですが、この種の基本的な磁気物理は普段考えないので、説明に多少不正確な部分が有るかも知れないのでご容赦を。 まず直列接続の話しですが、磁界=磁場に対応する電場は変わらないと思いますよ。コンデンサーを直列接続すると、同じ電場の強さのままで電極間距離が増すから電圧が上がるわけです。 次に、No2さんがお答えのように、電気には電子というモノポール粒子が存在するので、コンデンサーのような蓄積物が作れますが、磁気の基本はスピンと呼ばれる微小な双極子なので、N/Sの一方だけを集めて蓄積するようなものは作れません。 No3さんがお答えのように、電磁石なら技術的な問題点は別とすれば、原理的には強い電流でいくらでも強い磁場は作れるはずです。実際に今も強磁場のチャンピオンデータが競われています。 では、何故永久磁石に限界が有るか?No3さんがおっしゃるように、磁性物質が示す磁化には、自発磁化(飽和磁化とほぼ同じ)と呼ばれる固有の磁化の最大値が有ります。これは、物質を構成する原子(あるいはイオン)とその組み合わせによって、上述の磁化の基本単位であるスピンの大きさが決まっているからです。自発磁化の大きさは、このスピンの大きさと材料内でのその密度(これも、物質で決まっている)の掛け算で決定されます。 つまり、磁石の強さの上限となるスピンの空間密度には上限が有るのです。 しかし、この自発磁化が大きくてもそれが磁石の強さにはなりません。残念ながら、磁性物質内でのこのスピン、あるいはいくつかのスピンの集合体は、室温の熱エネルギーの影響で簡単にふらついてバラバラな方向を向いてしまい、物質内で磁化をうち消してしまいます。例えば、純鉄は自発磁化の大きさとしては通常の磁石より大きな値を持っていますが、このようなふらつき現象のために永久磁石としては使えません。 このような磁性材料の中で、結晶構造などの影響で一定方向にスピンが強く固定されるような物質(保磁力が大きいと言います)が磁石として使えるわけです。 そこで、通常、このような磁石の強さの目安として、飽和磁束密度(上述の自発磁化に相当するものです)と保磁力を掛けた値=BHmaxで評価しています。
その他の回答 (4)
- moto21
- ベストアンサー率27% (43/159)
それほど専門家ではありませんがイメージを・・ 磁力の強さは単位面積あたりの磁束の数の磁束密度 で考えます。 直列に並べる磁力線が増えて磁束密度が上がりそう ですが1つ目から出た磁力線が2つ目に引き継がれる 感じで磁束密度は増えないのです。厳密には増える こともあるのですが電池の様に単純に足し算では なく持っている磁石の特性である残留磁束密度が上限 でこれより上はありません。これ以上はB-H曲線 や動作点など面倒な話なので興味があれば検索してみ て下さい。 単純に磁石の元は電子のスピンなので磁束密度は材料 で決まってきます。 代表的な物は、普通の強さフェライト系、強い希土類 系などがあります 磁石を強さ決めるのは基本的には材料ですが 周りの作り方でも効率的に使えるかが変わってきま す。黒板等にくっつける丸いマグネットは裏には ビール瓶のふた状の鉄が入っています。この鉄が黒板 の鉄まで磁束をうまくもってくるので、鉄が無いもの に比べて吸引力が大きくなります。 また初心者マークのマグネットも単純に表がNで裏が Sではなくストライプ状の着磁で短い磁束のルート をとり磁石の有効利用をしています。 以上バラバラに書いてわかりづらい文章ですみません が参考になれば
- imoriimori
- ベストアンサー率54% (309/570)
全然回答になっていないのですが。。。 いやあ面白いというか結構深遠な疑問のような気がします。 磁石直列で磁場が強くならないということ自体私は知りませんでした。 きっと専門家からバシッと回答があると思うのですが、私は本件に関して次のように考えました。 ---------------------------------------- 輪っかに電流を流したものを二つ用意して重ねれば必ず磁場強度は2倍になるはず。永久磁石でそうならないのは、磁性体の物性に原因を求めることになるんじゃないかしらん。 もし磁性体が飽和していないのであれば、つまりごく弱く磁化された磁石だったら直列接続でたぶん磁場はほぼ個数比例になるはずだ。 磁性体が飽和していると、その磁性体はもはやそれ(飽和磁束)以上の磁束を通すことはできないから、それ以上いくら直列に重ねても磁場は強くならない。磁石直列で磁場が強くならないというのは、きっと飽和が関係している。 さて、そうするとエネルギーはどうなるのだろうか、という疑問が生じました。次のように。 それぞれの磁石は周囲に磁場を作っていて即ち固有の磁場エネルギーを持っている。直列に重ねて磁場が強くなるのなら、全磁場エネルギーはそれぞれの磁場エネルギーの足し算ということでつじつまがあう。直列につないで磁場が強くならないのなら、全磁場エネルギーはもとのそれぞれの足し算より減ってしまう。エネルギー保存則はどうなるんだ? このエネルギー保存則については次のようなことかしらんと思いました。 くっつけることでエネルギーが消え失せる?変かな?いや、引きはがすときには力を加えながら動かす、即ちエネルギーを外からつぎ込む、これは個々の磁場エネルギー(これもポテンシャルエネルギーなんだろう)の一部をなしている。逆に、くっつけるときには磁石は磁場エネルギーを放出して周りに対して仕事をしながらくっついている。とすればエネルギー的にはつじつまは合う。 ------------------------------------ 仮に以上のようなことだとしても、飽和って磁石の中のどういうミクロな現象から来るのかよくわかりません。なんで磁束がそれ以上入って行ってはいけないの?って思います。超伝導ならいざ知らず。 専門家のコメントを期待しています。
- corpus
- ベストアンサー率12% (25/200)
私は素人なのでわかりませんが、N極とS極が打ち消しあってしまっているから、直列方向にならべても磁力が大きくならないのではないでしょうか? 逆に、一本の長い磁石はそのなかに、多くの短い磁石が含まれているということではないでしょうか?
磁場の強度は磁力線の本数で表すことが出来ます。 並べた磁石の周囲に磁力線を描いてみてください。 そうすると、「磁力線は交わらない」という定理を思い出すと思います。このため、磁力は磁石をいくつ並べても合わさることが無く、強い磁場は得られません。 http://www.rakuten.co.jp/magnet/456257/456241/ の写真を参考。 強い磁場を得るには、鉄心を用いたコイルを作り、大電流を流すのが早いでしょう。
補足
ありがとうございました。観測キットの写真はとても参考になりました。私も初心に戻って観察からやり直しです(笑)。力線の方向には収縮、力線同士は反発するというのがマクスウエルの応力テンソルの性質でしたね。電気力線についても多分同じでしょうね。でもコンデンサの電圧は複数個直列に接続すれば確実に上昇しますね。両端に現れたこの電圧を空間的に近づけた2枚の電極に接続すれば大きな電界強度をつくることができます。磁力線に置き換えると大きく磁石をU字型に曲げてNとSを近づけることに相当するのかもしれません。この場合は磁界はそんなに強くならない様に重います。何か電界と磁界は違いがあるのでしょうか。今ひとつ私は理解していません。
お礼
大変丁寧なご説明ありがとうございました。お礼が遅くなって申し訳ありません。やはりご指摘のようにモノポールが存在しないことが重要なポイントかなと思うようになりました。少しは電気と磁気の違いを理解できるようになりました。これからもよろしくお願いします。