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なぜ電力会社は原子力発電を推進するのでしょうか?
いつもお世話になっています。 素朴な疑問ですが、なぜ電力会社は原子力発電を推進するのでしょうか? 原子力発電のメリットはわかるのですが、耐用年数が過ぎた原子炉の廃棄、数百年にわたる放射能廃棄物の管理(プルトニウムだったら安全になるまで数億年のオーダーですよね)等を考えれば、現在は安くついてもトータル的に考えればきわめて高価になります。 なのに、どうして電力会社は原子力発電を推進しようとするのでしょうか?
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歴史的な経緯、経済的側面など、いろいろな要因があるのだろうと思います。 原子力発電は、原爆をつくった技術の応用です。ですから、原爆技術を確立した国が、それ以上の技術が必要な「発電」に取り組みました。 結果、安全性も確立せぬまま、廃棄物の処理技術も、ウラン採掘場の汚染も、ウラン濃縮のさいの汚染・危険も置かれたまま、原発は生まれ、稼働してしまいました。 右肩上がりの上昇時代でしたから、もし何か問題があっても、そのうち全て解決するような技術が当然生まれると思ったのでしょう。当面はきちんと管理していればまず安全だしと。 (取り返しのつかない大事故が、もう何度か起きちゃってますが) ……となると、あくまで「石油に変わる燃料」としては、原発は非常に優れていますから、世界中に広がりました。 その後、石油埋蔵量が当時予測されたよりずっと多いことが分かったり、ガス燃料が石油をはるかにしのぐことが分かったり、太陽電池の飛躍的性能向上、燃料電池の開発、 さらに、原発は実はコストの面で高くつくし、今後のコスト競争力もないという事実、 さらにゃ、後世まで続く桁違いの危険性がどんどん明らかになって、 「原発・夢のエネルギー論」は崩れてしまっています。 が、温暖化の話が出る以前より、原発は推進されてきたわけで、むしろ温暖化(京都議定書)の頃には、上記のような現状から、ヨーロッパを中心とする先進国では原発の段階的廃止に進んでいます。 といったことで、原発維持・推進の一番の理由は、 原発のプラスの面はよく分かっていたが、マイナスの面が当時はよく分かっていなかったし、将来を楽観していたためと、 石油危機(アラブ産油国のウジャムジャ)がありオイルに対する不安が世界にあったため、新しいエネルギー源が必要だとの認識(など)から原発が世界中に広がっていった。 で、一度稼働させた原発は、とめたら管理に膨大な金がかかるだけでどうしようもないから稼働させ続けている、ということでしょう。 その場合、「原発にはこのような危険性があります」などと示してしまっては、住民に反対されて止めるしかなく、止まった原発はどうしようもないお荷物にしかなりませんから、絶対安全の立場を貫く必要があるわけです。 つまり、いろんな要因があって広がって稼働してしまったから、今も止めるわけにはいかず、動かし続けている、というのが、現在も原発が止まらずにいる理由だと思われます。 どうせ止めないでいるしかないんなら、近視眼的には原発は国力にとって有利だし、新規増設もして推進しよう。でも核廃棄物が溢れそうになっちゃってて困るから、それを燃料にした「核燃料サイクル(再処理)事業」に取り組もう、ということですね。 (でももちろん、原発の経済的不利、危険性などに限らず、この燃料サイクル事業もかつて国際的に大いに実験されたんですが、みんな失敗しちゃって撤退したということもあり、ヨーロッパ諸国を初めとして先進国では、原発の段階的廃止の方向に進んでいる国が多くなっています。燃料サイクル事業は、今、六ヶ所村が実験場になってますけど)。 もう一つ考えられる「裏の」理由は、原発が、建設コストも管理コストも非常にかかる、巨大事業だということです。 つまり、大きな金が動く、ということです。 となりますと、金の動くところには必然的に利権が発生しますね。それは企業の枠内だけではなく、国のレベルでも発生しています。 利権が生じればどうなるか、当然おわかりの通り、それを手放したくない(手放せない)わけで、つまり、推進ということになります。 以上のような次第で、どうも、現実にはこうしたことによって原発推進になっているようです。 実際にはもっと複雑なんでしょうが。 例えば、こんな事実があります。 今度、浜岡原発の耐震性を高めるため、中部電力が200~300億の金を投じるといっていますが、 太陽電池の設置に、現在の技術で、家庭一戸の電力をまかなうのに300万円(補助費含む)かかるようですが、 (参考 http://araiweb.elcom.nitech.ac.jp/~ichimura/solar/solmain.html) 300億あれば、太陽電池で1万戸の家庭の電力がまかなえます。 また原発一基の建設コストは、(時期や規模によりいろいろですが)1500億円ぐらいのようです。とすると、15万戸の電力が基本的にまかなえますね。 さらに、六ヶ所村における「使用済み核燃料全量再処理」のコストは、原子力委員会(政府側)の発表でも43兆円です(計画通りにいった最低金額ですが)。 とすると、えー、私の計算能力を超えましたが、30倍? 450万戸でしょうか? もしかして300倍? すいません、わからない。 まあ、30倍として。 一戸あたりの太陽電池、というのは、通常の一戸建て住宅がまかなえる電力ということでしょうから、住人がそこに5名住むとして、45兆円で2250万人の電力がまかなえることになります。 かつ、ウラン輸入代、運転費用、保管費用、また(原発の場合遠隔地から電力を運びますので巨大鉄塔が必要で、その分、かなりの電力をロスしてるわけですが)送電費などなど原発に「今」かかっている金額だけで見ても、「太陽電池だけ」でも、かなりの電力がまかなえることになりそうです。 他、あまり電気が必要とされない時間帯・季節には水力発電はされていませんし、風力発電もあります。 ここで注意点です。 間違った認識が世間に流れているのですが、使われる電力は毎日、変動しています。が、原発は、簡単に電力を上げたり下げたりできないものですから、最低限必要な、深夜のベース電力という部分の電力しか発電しておらず、その発電量は年間通してほとんど一定です。 ですから、真夏の昼に最高値を記録するような時には、休眠させている火力や水力などを総動員してカバーしています。 そうした時には、当然原発の占める比重は少なくなります。 かつて事故やら事故隠しやらで東京電力の福島原発などが止まった時、「最高電力が例年になく多くなると電力不足になるからみんな省エネしてね」ということがありましたが、結局、そうしたことは起こりませんでした。 消費電力の3割をも担っているのなら、当然、止まっていたはずです。 実際は妙なロジックがあって、「年平均の3割」なのか「最小電力の3割」なのか、とにかく「最大電力の3割」ではないわけですね(これの資料が見つからなかったんですけど)。 つまり、そんなに電気を使わない普通の日(季節)なら、原発なしで生活に不都合は生じないと考えられます。ピークですら原発なしで大丈夫だったわけですから。 さらに言えば、太陽電池を大きく取り入れるなら、年間のピーク電力を記録するのは「夏の一番暑い昼」ですから、太陽電池に絶好の環境ですし。 ところが日本では、こんなに狭い地震国なのに、既に原発が世界第三位の数作られてしまっているので、止めても管理費用がかかるだけで、その金が無駄になるわけです。無駄になるのは「無駄」だから、現在の危険性や先の人のことは無視して、このままいこう、金も力も得られるし、いざとなれば兵器にもなるし……とまあそこまでいくとうがった見かた過ぎでしょうか。 いずれにしても「もったいない」ですね。 海にメガフロートを浮かべて太陽電池で電気を起こし、その電気と海水から水素を作って燃料電池を動かせば、まさに夢の発電となるでしょうに。 その開発に国をあげて取り組んでくれればいいんですけど。不況の折にそんなことしてられない、国力が下がる、GDPを上げるにゃ巨大事業だ、ってことでしょうか。 こういうのを悪循環というんでしょう。 ……なんだか、こっちが暗くなってしまいました。 ごっつ長文になってしまいましたが、どうせだから知ってることあらかた書いちゃえと思いまして。 その割には未来に希望がもてないようなものになってしまい、失礼しました。 でも、ほんと、スゴイ力のある指導者が出て、エネルギー政策を一気に変えてくれればいいんですけどね。それだけなんですけど。 んーーーー。
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- fromMtoM
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私も常々疑問を持っています。 長い目で見れば核分裂を主体とする原子力発電は、デメリットの方が大きいのは間違いないと思います。 東京電力のホームページには原発の必要性として、このようなものがありました。 http://www.tepco.co.jp/nuclear/atomic-guide/ag-top-j.html また、資源エネルギー庁へのQ&Aも同様のものが多いようです。「原子力関係」のQ12,13あたりでしょうか。 http://www.enecho.meti.go.jp/faq/index.htm 推進する立場としては上記のように回答するしかないのかもしれませんが、信頼に足るかどうかは疑問です。 未だに些細(?)な事故が頻発していることや、原発ジプシーのように半ば都市伝説と化してしまったような、暗い一面があることも忘れてはいけないのではないかと思います。
お礼
早速のご教示ありがとうございました。 おっしゃるとおり、推進する側の言い分は、どうもスッキリしません。
- mermaid2004
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仰る通りでジレンマを感じます。 ●日本のエネルギー使用量は年間で、原油換算6億KLと言われています、その半分は電力用です 電力の1/3は原子力で賄われています。即ち1億KLは原子力で賄われている事に成ります。 1億KLは全体の1/6 で16%に相当します。今化石燃料の燃焼による炭酸ガスの増加で地球温暖化 が進んでいる事はご承知の通りで、京都議定書によれば、日本は90年レベルより6%の炭酸ガスの排出削減が必要で更にその後8%の増加がり、 現在14%の削減が必要な事態に成っています。原子力を止めるには、単純計算30%のエネルギー削減が必要であり、 現在の状況では絶望です、1ヶ月の内、10日は車も乗れず、暖房も使えません、電灯も、電車も、飛行機も、 ●又 化石燃料も100~200年程度で尽きるでしょう、従ってあらゆるエネルギーを有効に利用できる技術の開発が 必要で、原子力、太陽エネルギーなどもその一つで技術の確立には長い年月が必要であり、我々の永遠の繁栄をどの様に維持すれば良いのでしょう。 出来れば原子力は使いたくない、然し 使わざるを得ない状況と思います。 まとめ 地球温暖化の抑制と化石燃料残存が200年程度で当面原子力の有効利用が必要(安全確立を含め)と思います。
お礼
早速のご教示ありがとうございます。 そうなんですよね。出来れば原子力は使いたくない、然し 使わざるを得ない状況、これはわかります。 ただ、当の電力会社がなぜ原子力を推進しようとするのか、これがわからないのです。ご存じのとおり原子力発電の占める率は年々高くなっています。これは電力会社が原子力を他の発電以上に推進してきたに外なりません。
- o24hi
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こんばんは。 CO2の排出量など、色々理由はあると思いますが、簡単に書きますと、ウランが一番最後までこの世に残る燃料だからです。 我が国では、エネルギー資源の約8割を輸入に頼っていますが、原子力発電の燃料となるウランは、カナダやオーストラリアなど政情の安定した国から輸入しているので、安定した供給が期待できます。 また、ウランは石油等に比べてごく少ない量で大量の発電を行うことができ、輸送や貯蔵のしやすさも特徴です。 火力発電に利用されている化石燃料の有効な埋蔵量は、今の消費量が続くとして、石油約40年分、天然ガス約60年分、石炭約230年分とされています。つまり、約200年後にはこういったエネルギー源はなくなっちゃうんですね。 一方、原子力発電で用いられるウランの埋蔵量は、現在の利用方式では約60年とされていますが、将来的にリサイクル技術が確立するとウランの利用効率を数十倍に高めることができ、原子力発電を利用できる期間は現在の数十年のオーダーから数百~数千年のオーダーになると考えられています。
お礼
早速のご教示ありがとうございました。 ウランが最後までこの世に残る燃料ではありますが、廃棄物も最後までこの世に残りますよね。ウランは石油等に比べてごく少ない量ですむというのはわかります。ただ石油が後40年というのは、終戦後ずっといわれてきました。ですからもう現在は枯渇している筈なんですが・・・。どうもこのあと○○年というのは信用できません。 リサイクル技術というのははたして確立できるのでしょうか? ご存じのとおりたかが高速増殖炉をつくる程度でナトリウム漏れという大きな事故がおこったのはご承知のとおりです。実際に高速増殖炉は日本以外でほとんど開発がストップしています。 どうも、公共事業と一緒で、やりだすとやめられないという感じがするのは私だけでしょうか?
お礼
早速のご教示ありがとうございました。 様々な面にわたって、長文にわたりご説明頂き感謝しています。 おっしゃるとおり、膨大な金が動くところには必ず利権が伴いますね。