- ベストアンサー
酸化還元問題の解法と考え方
- 酸化還元問題での考え方や解法についてまとめます。
- 還元作用を行える元素や化合物の判定方法について解説します。
- 酸化還元反応における原子価や電子式の考え方について説明します。
- みんなの回答 (1)
- 専門家の回答
質問者が選んだベストアンサー
化学の初歩では、電子式を使って原子価や化学結合を説明しますが、この方法は有機化合物を除けばごく一部の物質にしか当てはまりません。実際は複雑なメカニズムが働いていて、NO、CO、O2、SO2のような簡単な分子でさえ、もはや電子式で結合を説明するのは無理です。 また、酸化剤か還元剤かの判断も、化学式をみてすぐわかるような方法はありません。 ご提示の問題文は、「3つの物質がすべて還元剤であるものを選べ」との意味だと思います。 ○H2は酸素と結合して水になるので還元剤です。このように、酸素と反応しやすいものは還元剤です。Zn、CO、H2S、Naも、燃える(酸素と反応しやすい)ことから還元剤だとわかります。なお、CH3CHOも、燃えるのでこのグループにも入れることが可能です。 ○他の物質に電子を与える反応ができるものは還元剤です。Fe2+は、電子を1個放出してFe3+になりますから、還元剤です。I-は、2I- →I2 + 2e- の反応で単体のヨウ素になるとき電子を出しますから還元剤です。Na、Zn、Feは、イオン化傾向の大きい金属単体であり、すべて陽イオンになるときに電子を出しますから還元剤です。 ○H2Sは、SO2と反応してSとH2Oになる反応があり、これは、H2Sが還元剤、SO2が酸化剤として働く反応です。 ○CH3CHOについては、アルデヒド基-CHOがあります。これは酸素原子を受けとるので還元剤の作用があります。これは教科書の「アルデヒドの性質」を見てください。 ○Na+は、電子配置からわかるようにこれ以上電子を出してNa2+になりませんので、還元剤にはなりません。 ○F-は、電子を放出させてF2に変えるには電気分解(融解塩電解)しか方法がありません(F2が極めて強い酸化剤であることから判断できます)。電気分解で無理やり電子を放出させることができても、ふつうその物質を還元剤とは呼びません。 このように、この問題は教科書全体の知識を総合した問題ですので、初歩的な解き方がなく、むしろかなり学習が進んだ段階で取り組むのに適した問題だと思います。