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酸化還元反応について
希硫酸は、電離して強酸性を示し、酸化力はないと参考書に書いてあるのですが、 亜鉛と希硫酸の反応である Zn+H2SO4 → ZnSO4+H2 では、希硫酸から電離した水素イオンは、Znから電子を奪っているので、酸化力があるとはいえないのでしょうか。 また、希硫酸に酸化力はないのに、なぜこの反応は酸化還元反応といえるのでしょうか。 よく分からなくて混乱しています。 回答よろしくお願いします。
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「次の反応式の中から酸化・還元反応を表しているものを選べ」という問題がよくあります。 その中にこの反応式があれば選ぶことになります。亜鉛は酸化されていますから酸化還元反応です。当然酸化剤は何かが問題になります。硫酸しかありません。酸化剤は硫酸です。 反応式が Zn+2HCl→ZnCl2+H2 であればHClが酸化剤です。 Zn+CuSO4→ZnSO4+Cu が酸化・還元反応であるというのと同じです。 酸化剤はCuSO4です。 この場合イオン化傾向の違いで Zn+Cu^(2+)→Zn^(2+)+Cu の変化が起こるという説明がされています。酸化剤としての働きの主役は、CuSO4の中のCuです。でも物質としてはCuSO4です。 金属と反応して水素を出すというのは酸の一般的な働きです。 この反応に関しては酸化剤として働いています。 酸をHAで表すと Zn+2HA→ZnA2+H2 です。ただ酸化剤として働いたときの主役はHAの中のHです。 酸としての主役もHでしたからHは両方の働きがあることになります。 これはどの酸にも共通です。 「酸化力のある酸」と特別に言っているのは「これとは別の仕組みの酸化反応を起こすことのできる酸」があるからです。 HAのAの方が反応の主役になります。 硫酸、硝酸が代表的です。 Cu+2H2SO4→CuSO4+SO2+2H2O Cu+4HNO3→Cu(NO3)2+2NO2+2H2O HAのAの部分に変化が起こっています。 イオン反応式にするともっとわかりやすくなります。 H2SO4+2H^+2e^- → SO2+2H2O HNO3+H^++e^- → NO2+H2O まとめると 酸HAの示す酸化剤としての働きには2つのタイプがある 1.HAの中のHの部分が変化するもの・・・酸に共通 2.HAの中のAが変化するもの・・・H2SO4,HNO4が代表 (「酸化力のある酸」=「普通の酸にはない特別な酸化の仕組みを持っている酸」) 希硫酸を「酸化力がない酸である」と言っているのは濃硫酸の持っていた2.の働きがなくなっているからです。1.の働きはそのまま持っています。
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- htms42
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#2です。 #1では反応の仕組みで説明しました。 違った背景もあるように思います。 「酸化剤」という言葉には2つの意味があります。 (1)ある物質を酸化したいとします。 酸化剤としての働きの認められている物質の中から目的に合ったものを選んで反応させます。普通、酸化剤というときはこの場合が多いです。 積極的な働きが認められている物質です。「剤」という言葉は特別な働きを持った物質に対して使うものです。 (2)ある反応があるとします。 その反応が酸化・還元反応であるということがわかった場合、酸化剤として、または還元剤としては普通考えない物質でも酸化剤、または還元剤として分類されることが起こります。 ある特別な物質の組み合わせでしか起こらない反応でも働きとしては酸化剤、または還元剤になってしまいます。 (2)は酸化と還元は同時に起こるという認識が認められてからのものです。相対的な働きで「これは酸化剤」、「これは還元剤」と当てはめるのですから積極的な働きで使っていたときとイメージが食い違うことが起こります。こういう考え方は新しいものです。かつては酸化反応、還元反応と別々のものと意識されていました。 燃焼において「酸素が酸化剤である」という表現は普通ですが「燃やされるものを還元剤と呼ぶ」というのはそれほど一般的ではありません。新聞紙を燃やせば新聞紙は還元剤として働いていることになります。でもこれはほとんど使わなれない表現のはずです。 教科書ではイオン化傾向の大きい金属が還元剤の表の中に載っています。イオン化傾向の小さい銅はその中には含まれていません。 でも硝酸銀の溶液の中に銅を入れれば、銅は還元剤として働きます。 「酸化力のある酸」という表現も(1)の立場でのものです。 (2)の立場で酸を酸化剤として考えるというのはかつては一般的ではなかったのです。
- sono0315
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>>希硫酸から電離した水素イオンは、Znから電子を奪っているので 希硫酸ではなく、水素が電子を奪っているから、希硫酸に酸化力がないと考えるのは妥当ですよね
お礼
丁寧な説明ありがとうございます。 とてもよく分かり、すっきりしました。 ずっと引っかかっていたのでうれしいです。