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古典歌舞伎の基準

教えてください。 新作歌舞伎が上演されたりしていますが、古典歌舞伎というと、どの時代のものをいうのでしょうか? ちなみに、「一条大蔵譚」と「連獅子」は、古典歌舞伎の種類になりますか? いろいろと調べてみたら、「連獅子」のほうは、半古典歌舞伎らしいのですが。 お分かりになるかた、教えてください。 よろしくお願いいたします。

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回答No.1

 文化庁の定義によりますと、重要無形文化財として認められている古典歌舞伎は、   1)演者:演目の重要な構成人物の大部分が社団法人伝統歌舞伎保存会の会員(主だった「歌舞伎役者」の大半がこの会に所属しています)であること。   2)演目:伝統的な演目及びこれに準ずるものであること。   3)演技演出:伝統的な演技演出を基調とすること。    (1) 様式的な演技せりふによること。    (2) 女方によること。    (3) 音楽は伝統的な歌舞伎音楽の定式によること。    (4) 拍子木、ツケは定式によること。    (5) 扮装(衣裳、鬘、化粧)は定式によること。    (6) 大道具、小道具は定式によること。    (7) 原則として定式的舞台機構によること。(以上の「定式」というのはまあ昔からのしきたりのようなものです。) となっていますが、通常は特に演目の部分について言われます。  ふつう、古典歌舞伎といえば明治初期までに作られた、伝統的な形式にのっとった戯曲によるものをさします。「一条大蔵譚」はまさしくこれに該当します。  また、明治期には歌舞伎にさまざまな改革が加えられ、古くからある伝統的な演目もより洗練されたものへと発展してゆきました。例えば江戸時代からある「枕獅子」という演目を九代目市川団十郎が中心となって「鏡獅子」に改良したのがその例です(「鏡獅子」は獅子が二頭出てくる特殊な演出で行う場合にかぎって「連獅子」と言います)。こうした改良後の作品も、ふつうは古典歌舞伎と言います。「半古典」というのは上のような事情に配慮して正確を期した言いかたでしょう。  古典歌舞伎の対義語は新作歌舞伎です。両者のあいだにどこで線を引くかというのは簡単な問題ではありませんが、時代的に言うと、通常、(1)江戸以前からある演目はすべて古典、(2)明治以降にできた、あるいは大幅に改訂された演目は、その際の事情に考慮して古典と新作にわける、というのが正確なところでしょう。  明治以降の演目の場合、伝統的な歌舞伎の作劇術を勉強した狂言作者といわれる人々が書いた脚本によるもの、あるいは歌舞伎役者が中心となって構成や演出を改訂したもの、はたとえ大正、昭和の作であっても古典と言います(もっとも狂言作者は昭和に入るころにはほとんどいなくなりましたから、大正以降になると「古典歌舞伎の新作」はほとんどありません。大半が改訂ものです)。それ以外の、歌舞伎とは関係のない劇作家や文学者の手による脚本を歌舞伎の演劇法を利用して演じる演目を、ふつうは「新作」と呼ぶことが多いようです。また、この場合、たとえそれが伝統的な演目であっても、新劇そのほかの新しい演技手法や作劇術を参考に原作を換骨奪胎して作りあげた改訂ものは――猿之助のスーパー歌舞伎の一部がそうですが――、やはり「新作」の範囲に入れることが通常であるようです。  ちなみにいうと、歌舞伎はふつう、「芝居」と「舞踊」に大別することが多く、舞踏はたいへん新作新演出が多いので、「古典歌舞伎」「新作歌舞伎」「舞踏」に三分することもあります。このうち「古典歌舞伎」は「丸本物」と「純歌舞伎」に分けられます。

sinoppi
質問者

お礼

ありがとうございます。 とってもお詳しいのですね。 勉強になりました。 また、分かりやすいご説明、ありがとうございました。 心から感謝いたします。 ありがとうございました。

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