>なぜ大企業が悪い事をするのですか?
「悪いこと」が業務上横領などの「個人的な不正」であれば、内部監査など企業自らのチェックが働きますし、内部で「これはおかしい」という指摘も比較的やりやすいものです。
しかし、現在あちらこちらで次々に発覚しているのは、「不正な方法での検査(検査逃れ)」など大企業ぐるみとまでは行かずとも、企業の内部の一つの組織(工場・部局などの職場)単位で共有する「組織的な不正」であり、「現場での実際のやり方」「現実的な方法」として慣例化している場合も少なくありません。
このような「組織ぐるみの不正」の場合「現場の協力」は得られないので企業自らのチェックは困難ですし、「職場でうまくやれている慣例」に「これはダメだよ」と個人が異議を唱えるのはよほど強い正義感と強い意志が必要で、普通の勤め人には無理です。ほとんどの人は内心では「本来のルールとは異なる」ことは認識しながら「まあこれでうまく行くならいいか」と考えてしまうのです。
もちろん企業もこうした不正を防止する目的もあって「内部通報の窓口」を企業内や企業外に設けたりしていますが、「内部通報者が保護される」という確信が持てない(残念ながらそれが日本の現実)ためうまく機能していません。
「上に政策あれば、下に対策あり」という有名な言葉が中国にあります。中央政府(共産党)がどのような政策を出しても、人民や地方政府は抜け道を探して骨抜きや違う方向にしてしまうという意味で使われています。中国のように「お上が強いように見える国」でもこうであることを考えると、日本の大企業内部の不正も根が深い問題で、単純にルールを厳格化するだけでは解決は難しいことがわかります。また新たな「対策」を考え出されるかもしれないからです。