歴史的なしがらみと利権と米国内外の政治が入り混じっていて一言では説明できません。複雑な要素だけ並べます。
(1) 石油 -ブッシュJrが始めたイラク戦争の頃までは中東の石油と利権確保は重要でした。その後アメリカのシェールオイルの開発が進むと石油の重要度は減り、オバマ政権下ではテロとの戦いが重要事項になりました。ところがOPECの産出量が上がり原油価格が暴落するとアメリカのシェールオイル関連の企業で倒産するところも出始め、トランプ政権ではOPECの産出量にまで口を出すようになりました。
(2) 勢力の空白地帯の回避-アメリカで半ば常識のように考えられて繰り返し出てくる言葉が「空白地帯」。地政学的にアメリカが軍事的な影響を弱めると必ずテロ組織やロシア軍の台頭を許してしまうと言うもの。1980年代に平和主義者のカーター大統領がアフガンから撤兵するとソビエトが勢力を伸ばしソビエトが引くとタリバンが席巻し、未だに混乱が収まっていない事の反省。オバマはイラクで民主政権の自立をうながしつつも空白地帯を作らないように慎重に撤兵しました。ところがISの台頭を招いてしまい、トランプは「空白地帯」論を持ち出し、オバマ、クリントンを批判し「ISは彼らが作った」とまで言いました。今は比較的落ち着いていますが、この空白地帯の論理は至る所で顔を出します。
(3) イスラエル-アメリカで選挙を有利に展開しようと思えばユダヤ系の巨額の資金の取り込みと親イスラエル政策につながるキリスト教福音派の支持を集めることは重要です。結果イスラエルと期待するイランに攻撃的になります。オバマ時代は人道的見地から強硬なイスラエルのネタニヤフ首相を嫌い、イスラエルから距離を置きイランとの確執も解決に向かったのですが、トランプが一気に反動的な動きをとりました。
(4) 憎悪の連鎖 - これも中東情勢を語る時によく使われる言葉。他宗派、多民族が入り混じった中東では戦争やテロが起こると多くの犠牲者がうまれ憎悪の連鎖が渦巻いています。過去からにアメリカの介入によりその憎悪の連鎖の中にアメリカもどっぷり入り込んでいます。
こう言う環境で、中東の国同士の対立もあり、またロシアや、中国が入り込む余地もありアメリカは自国の中東で地位を崩さないように介入をやめられません。
お礼
いろんなからみがあるのですね❢ 大変勉強になりました ありがとうございます