こんにちは。確かにサプリメントに着色料を入れなければいけない理由を考えるとその存在に疑問を感じてしまいますね。
質問者様がご提示したサプリメントの着色料ですが、カラメル色素は茶色っぽいカプセルの色に、酸化チタンはカプセルに書かれている文字に使用されているものと思われます。
メーカーに確認したわけではございませんが、酸化チタンの物性とカプセル剤、中身が亜鉛をメインとしたものであることを考えると製剤上必須の添加物とは考えにくいものです。
質問者様は酸化チタンの発がん性・毒性を気にしておられるようなので、少しデータを提示いたします。
・IARC(※1)による酸化チタン評価
発がん性分類: グループ2B(ヒトに対して発がん性がある可能性がある)(※2)
根拠: 吸入ばく露によりラットの肺に腫瘍が認められたこと(※3)
・厚生労働省による有害性総合評価
急性毒性: 経口毒性 LD50 ラット、マウス共に 10000mg/kg体重、経皮毒性 LD50 ウサギ、ハムスター共に 10000mg/kg体重(※4)
反復投与毒性(発がん性を除く): 二酸化チタンによるじん肺症の報告有り。動物の吸入ばく露試験等で肺の炎症等の報告有り。
※1: 国際がん研究機関。WHO(世界保健機関)の一機関で発がん状況の監視、発がん原因の特定、発がん性物質のメカニズムの解明、発がん制御の科学的戦略の確立を目的として活動
※2: EU(欧州化学庁)、日本産業衛生学会、ACGIH(米国産業衛生専門家会議)、NTP(米国国家毒性プログラム)では発がん性を認めていない。
※3: ただしマウス、ハムスターでは腫瘍発生は認められず、欧州・北米で行われたヒトに対する疫学集団研究で酸化チタンと発がん性の因果関係は認められなかった。
※4: LD50とは動物実験において半数の動物が死亡する投与量のこと。この場合は体重1kgあたり10gの酸化チタンを投与すると半数が死亡というデータ。
これらのデータを総合して判断すると、少なくとも経口摂取や経皮摂取においては毒性は極めて低いと判断できます。
体重1kgあたり10gの酸化チタンとなると、60kgの人が600gもの酸化チタンを食べてやっと半数が死亡するという現実離れした数値となります。
粉塵等に含まれる場合の呼吸器への暴露については発がん性が疑われていますので、IARCの分類を考えれば安全とは言い切れませんね。
化学物質の有効性や毒性について考える際に「量の概念」が抜け落ちてしまうと地球上のほぼあらゆる物質が有害物質になってしまいます。
酸化チタンに関して言えば、化学物質としての発がん性は認められているが、生物が経口摂取することに関しての安全性は非常に高く、だからこそ食品添加物として使用することが認められている、ということになります。
これらを考慮して酸化チタンの安全性・危険性をどのように判断するかは、消費者それぞれに委ねられるものでしょう。
ご参考になりましたら幸いです。
ココカラファイン 薬剤師(@cocokarafine) プロフィール
ドラッグストア・調剤薬局を全国約1300店舗展開しているココカラファインのWEB担当薬剤師です。
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お礼
ありがとうございます。感謝申し上げます。
補足
ご指摘の通り、カプセルは茶色で、白い文字が印字されてます。 亜鉛は必須ミネラルですので、一生とり続ける可能性があるのですね。 体内に蓄積された残留色素が、たとえば50年とり続ければどうなるのか? まだ、そこまでのデータはないのでしょうね。