アメリカはなぜイランと敵対する?
ISとの戦いもほぼ一段落したと思ったら、中東ではこれまで隠れていた問題が吹き出して今後の状況が懸念されます。それに絡んで質問・疑問がいくつもあるのですが、今回はその中のひとつ、アメリカvs. イラン問題。
質問:トランプはなぜイランを敵対視するのか?
質問の背景:
1979年のイラン革命以降の経緯を見れば、関係回復に向けたオバマ前大統領が異例で、トランプの方向性の方が一貫性があるとも言えます。ただトランプ政権では欧米6カ国とイランの核合意が遵守されていることをその後の調査で認めた上ではっきりした理由もなく経済制裁を強化していて、欧州から非難されています。イランの現ローハニ政権が穏健派であり欧州や日本もイランとの関係回復を喜んでいる中でやはりトランプのイランへの敵対的な対応は異常に見えます。
一方で米国の同盟国で、イランと敵対するサウジアラビアはここのところイエメンへの非人道的な攻撃が問題になっており、レバノンへの介入やカタールへの一方的な国交断絶と経済封鎖などおさえが効かないように見えます。アメリカの友好的な姿勢をよそに原油や経済的には中国への急接近をしていて、今後の石油の流れがアメリカ、日本から中国に大きく奪われかねない状態になっているどころか、アメリカが輸出を禁止しているドローン兵器まで中国はサウジに売り始めました。そんな中で先日のエルサレムの首都認定問題もあって、サウジアラビアもアメリカを批判しています。
外交戦略的に見て、イランと敵対することがアメリカに何のメリットも生み出しておらず、どちらかと言うと中東に取ってもアメリカに取ってもマイナスにしか働いていないように見えるのです。
経済封鎖されているカタールに対して、アメリカの仲介は殆ど功を奏してない中でイランからカタールを物資の支援し、兵糧攻めを凌ぐことができています。また、イラン国内では他の中東諸国のように人道問題があると言われていますが、一方でアメリカが継続的に戦闘しているアフガンからの難民を大量に受け入れていて、そう言うところを見ると、むしろイランの良い面が見えるのですが。
お礼
ありがとうございます。原油価格に関しては質問文で端折りすぎました。原油の価格下落で打撃を受けた中東の産油国でサウジアラビアが中心となって産油制限割当を決めて価格安定化を測っていたのですが、そこに核合意で制裁解除を受け、産油量が復活したイランも入っていました。そこに今回の米国の合意離脱の影響があると観測されて原油の先物価格が上昇しました。ただ、アメリカ単独の合意離脱で世界中の国々がイランの石油を輸入を止めて産油量が大幅に落ちるなんてことが起こるのかな?と言うのがひとつの疑問で、イランの石油輸出量が変わらなければ原油価格と言うよりは先物取引価格が下がるよねと言うことでした。質問は原油だけの話ではないのですが、アメリカの単独合意離脱って経済的にどれだけの意味があるのか、損するのはアメリカだけじゃないのか、漁夫の利を得る国々も多いんじゃないかと言う疑問でもあるし、逆にそれを防ぐためにアメリカはどこまでの事をするのかなと言うことでもあります。