- 締切済み
ケイ素鋼板の積層構造による磁束の低下について
- ケイ素鋼板の積層構造が磁束の弱さの原因となっている
- シミュレーションで計算した吸引力と実際の値に大きな差がある
- 積層構造を考慮したシミュレーションの方法についてアドバイスを求めている
- みんなの回答 (3)
- 専門家の回答
みんなの回答
>その前は装置を磁気回路に落とし込んでからMATLABによって磁束を計算し、 >そこから吸引力を計算したのですが、 大変失礼ながら、まずは、上述の段階の磁気回路のモデル化が適切であるか 検討することが必要と感じます。 積層構造に伴い、ムクの鉄心より占積率が低下するので、飽和磁密度近くで 使えば、数%の吸引力の差が生じるかもしれません。想像するに、お問い合 わせの事例は、シミュレーションで予想した吸引力よりも大幅に低下したよ うに思います。必ずしも、積層構造が悪さをしていると決めつけるのは、 早計のようにも思います。 吸引力を計算するには、鉄心部分よりも、鉄心部以外の磁路をどのように見 積もるかが大きなウエイトを占めます。鉄心及び吸着したいワークで構成さ れる磁気回路全体のプロポーションや、磁路における空隙の寸法を正しく計 算に取り込むことが必要です。 もう一つ、励磁電流は直流でしょうか?交流であれば、渦電流損失を低減す るために積層鉄心が有効ですが、直流では効果を発揮しません。 >磁束の多少の漏れやケイ素鋼板の磁気抵抗を考えなかったこともあると思 >います。ただ磁気回路は閉じているので漏れはないもとし、また空気の透 >磁率に比べてケイ素鋼板の透磁率は充分大きいのでシミュレーションでは >無視しました。 ご自身でもお気づきのことと思いますが・・・・。 ワークの吸引力を計算するには、吸引装置側の磁気回路から、ワークに対し てどれほどの磁束が通るかを定量的に見積もることが必要です。吸引装置側 の磁気回路とワークとの間には、必ず空隙が存在します。 鉄心と空気の透磁率の差が大きいから、空隙の影響は無視していいのではあ りません。 単純化した計算では、鉄心の透磁率は無限大と考えて鉄心に磁束を通すため に必要な起磁力はゼロと考え、空隙に磁束を通すための起磁力だけを算定す ることで、それなりの精度で、磁束分布や吸引力を求めることができます。 空間を通る磁束は、鉄心内のように磁路が定まらないので、モデル化には、 経験が必要と思います。ご自身で、適切な磁気回路のモデリングをすること は相当の試行錯誤が必要かもしれません。 一つの方法論としては、(電)磁界解析のCAEを利用することも考えられま す。いきなり、ソフトウェアを導入するのはリスクが大きいですから、県の 工業試験所などに相談してみたら如何でしょうか。 ソフトウェアの例 http://www.sbd.jp/product/electromagnetism/ems_-_solidworks.shtml http://ansys.jp/solutions/electromagnetics/index.html http://www.jmag-international.com/jp/ http://tsune.cocona.jp/emsimu/frame_emsimu.html お問い合わせの場合は、電磁界解析ではなく、静磁界解析で足りるものと 思います。 補足を記入して頂きましたが、こちらからの記入が遅れて失礼しました。 シミュレーションの当否について、見解の相違があるようですから、前の 回答の延長線上でうまく説明できるものか判りませんが、まずは事実関係 を明確にできれば、他の回答者さんのお知恵も頂けるように思いますので 状況を整理させて下さい。 次のような表現で、お問い合わせの状況を正確に表しているでしょうか? 間違っていたらご指摘下さい。 1)励磁電流はリップルがない直流電流である。 2)励磁電流と吸引力の関係を実測した。 3)実測結果、励磁電流が大きい領域では、シミュレーション(計算)で予想 した吸引力と、実測した吸引力は、納得できる誤差の範囲で合致した。 4)実測結果、励磁電流が小さい領域で、励磁電流と吸引力の比例関係が保た れずに、吸引力が著しく低下した。 5)積層鉄心とムクの鉄心の実機による比較は行っていない。 できることならば、3)の合致の度合いがどの程度なのか、また、4)の吸引力 の低下がどの程度なのかを定量的にご呈示頂けると参考になります。 更なる追記を頂いてから、事実に基づいて回答することが望ましいとは思い ますが、直流電流と渦電流について言えば、リップルを含まない直流励磁で あれば、渦電流は発生しないことは確かです。 先の追記と併せて、お問い合わせの対象の概略のサイズをご教示頂けないで しょうか? 原理原則はどんな大きさの品物でも共通ですが、相場感は、 小型リレー程度の磁気回路と、何トンもの屑鉄を吸着するような電磁石では かなり異なりますので・・・。
>ケイ素鋼板をにコイルを巻いて電磁石を作っているのですが、その吸引力が>シミュレーションの値と大きく違う。 ケイ素鋼板を使うからには、交流の電磁石と思いますが、付ける相手は鉄板ですか? 相手が鉄板であれば、鉄板中に渦電流が流れ、磁束を減少させるので、吸引力 が弱くなります。 磁石として利用するなら、DC電源を利用するほうが良いと思います。 相手が珪素鋼鈑なら鉄損は少ないので、計算と大きく違うことは無いと思います。 参考までに、AC駆動の電磁弁のソレノイドのコアは当たり面を機械加工して当たりを良くしています。 当たり面をコアカットのままだと、エアーギャップが出来て、磁束が弱くなることがあると思います。 コアはどのような形状(C型、E型、他)でしょうか >直流電流を与えているのでケイ素鋼板の渦電流の除去ができておらず渦電流損が出ている. DCだと渦電流は流れません。したがって渦電流ロスはありません。 コアカットの意味は加工面が綺麗になっているかということです。 コアと鉄板の当たりが悪いと、隙間(エアーギャップ)が出来て磁気抵抗が 増加して吸引力が弱くなります。 また、コアの周囲に鉄があると、磁束が漏れて吸引力が低下します。 その他、コイルを分割して巻いた時、結線に間違いがないか確認が必要です。
補足
相手もケイ素鋼板を使っており、DC電流を使っています。 透磁率の値から鉄よりケイ素鋼板の方が良いという理由で決定したと聞いています。 すいません、コアカットのままとは単にケイ素鋼板を切ったかどうかということですか? http://www.nihon-cutcore.co.jp/product_inf.htm#%E5%B7%BB%E9%89%84%E5%BF%83 これについてはどう調べてみたよいのでしょうか?パーツの形状でしょうか? 加工面は見た感じ綺麗になっており触ってもザラザラしていませんでした。 こういう意味ではありませんか? コアだけでなく吸引される方もケイ素鋼板の積層構造をとっていました。 これなら磁気抵抗がまた上がるかもしれませんね。 また今日新たに発見したのですが、ほんの少し電磁石のケイ素鋼板がさびているような気がしました。完全にさびているというわけではないのですが、多少の影響は出てきますよね?あまり関係ないですかね?普通錆除けのコーティングはされているものだと思っていましたが、透磁率が変わるからしない方がいいんでしょうか?
あまり得意な分野ではありませんが、以下のURLの内容が係わっていませんか? 貴殿にて、ケイ素鋼板の積層構造との関連を確認してください。
お礼
ありがとうございます。参考にさせていただきます。
補足
詳しく丁寧にありがとうございます。 磁気回路はおそらくあっているかと…。磁気回路がそこまで複雑ではなかったので。 多少のずれは覚悟していたのですが、シミュレーションの値とこんなにずれるのは疑問に思い質問させていただきました。 シミュレーションでも実測でも線形性は取れていました。ただ値が極端に小さく傾きが小さいという結果でした。これは磁束が飽和しているからと考えるのはまちがいでしょうか?電磁石で電流を上げれば上げるほど磁束が無限に上がっていくことなんてないですよね?(飽和があるから)なら数%のずれでは済まない気もします。でも吸引力が半分以下まで落ちていたのでそれだけではないかもしれません。 また直流電流を与えているのでケイ素鋼板の渦電流の除去ができておらず渦電流損が出ている、すなわち磁束が落ちたという事でしょうか?そもそも直流なのに渦電流は起きるものなのでしょうか? すいません、電磁石で磁気軸受(磁気浮上)を行なっています。 >1)励磁電流はリップルがない直流電流である。 励磁電流は直流電流ですが、軸の位置をサンプリングしてPID制御しているので綺麗な直流ではなく多少のリップルは存在していると考えてもよいと思いますがそこまで気にするほどの大きさではないと今現在は考えるようになりました。 >2)励磁電流と吸引力の関係を実測した。 その通りです。電流を加えてその時の吸引力を測定しました。その時どれだけの質量を浮上できているかを計測し、それに重力加速度9.8をかけて吸引力を導出しました。 >3)実測結果、励磁電流が大きい領域では、シミュレーション(計算)で予想 した吸引力と、実測した吸引力は、納得できる誤差の範囲で合致した。 いえ、励磁電流が大きい領域でも小さい領域でも計算結果よりも大幅に小さいという結果になりました。計算結果である所では約70Nであるのに対して実測では約30Nであるなどです。 >4)実測結果、励磁電流が小さい領域で、励磁電流と吸引力の比例関係が保た れずに、吸引力が著しく低下した。 いえ、励磁電流が大きい領域でも小さい領域でも比例関係は保たれています。ただ3)のように数値に大きな差が見られたという事です。 5)積層鉄心とムクの鉄心の実機による比較は行っていない。 過去にその比較を行なっているらしくデータとしてしか知りませんが、透磁率がケイ素鋼板の方が大きいにも関わらず鉄の方が大きい吸引力を示しているという結果がありました。なのでケイ素鋼板の積層構造が問題であると目を付けました。 磁気軸受ですのである一定の距離の離れた物体を吸いつける力です。励磁電流により変わるのですが、2~4kgの物しか持ちあげられません。計算ではもう少し持ちあげられるはずなのですが。 もう少し情報が必要なら言ってください。 磁気回路にはケイ素鋼板なのか鉄なのかの物性を示すものが入っていません。空気の透磁率(ギャップ)しか考慮されていません。これを磁気回路にあてはめる場合はどうするのでしょうか?