逆関数をマイナス1乗(によく似た記号)で表す。それでもf^(-1)(x)はfの逆関数であって、f(x)の逆数 (f(x))^(-1)と間違える心配はありません。
しかし三角関数は (sin θ)^2 と書くべき所を sin^2 θ と書いたりする変な習慣があるものだから、しばしば混乱が生じます。
●単に(tan θ)^-1 なら、これは逆関数じゃなくて、逆数であり、cotangentですね。
(tan θ)^-1 = 1/(tan θ) = cot θ = (cosθ)/(sin θ)
θの所が角度を表しているのなら、この解釈でオッケーです。
●そうではなく、θ=tan^(-1) (x) 「θはx=tanθが成り立つような角度」というのであれば、これは逆関数arctangentです。
arctangent (arctan x)は多価関数です。つまり、同じx=tanθを満たすようなθは幾らでもある。なぜならθの代わりにθ+nπ (nは任意の整数)を入れても、x=tan(θ+nπ) は成り立ちますから。
そこで、x=tanθを満たすθのうちで特に -π/2<θ<π/2 であるようなθをarctangentの主値と言って、この範囲のθだけを取る1価関数をArctan xと書き、arctan xと区別します。
Excelにある
ATAN(x)
はArctan xのことです。
●さて、しばしば arctan(y/x) を求めたい場合がある。これは直交座標系(x,y)から極座標(r,θ)への変換をやる際に必要になります。r=(x^2+y^2)^(1/2)は簡単ですが、求めたいθの値の範囲は-π<θ≦πであって、
x<0, y<0のとき -π/2 >θ>-π
x=0, y<0のとき θ=-π/2
x>0, y<0のとき 0>θ>-π/2
x>0, y=0のとき θ=0
x>0, y>0のとき π/2 >θ>0
x=0, y>0のとき θ=π/2
x<0, y>0のとき π>θ>π/2
x<0, y=0のとき θ=π
という風になって欲しい。
特にx=0の場合には (y/x)=tanθという計算が出来ず(ゼロでわり算することはダメなので)、代わりにx/y=1/(tanθ)と考えなくてはなりません。さらにx,yの符号によって答を変えなくてはならない。だからATAN(y/x)を使って極座標への変換を計算するのは大変です。
これを一発で計算するための関数は大抵のプログラミング言語に用意されており、Excelにも
ATAN2(x,y)
があります。
★なお、角度は全てラジアン単位ですから、ラジアンから「度」に直すには 90/πを掛け、逆は π/90を掛けるんですね。
お礼
有難うございました。 はじめて質問したのですがすぐに回答が返ってきたのには驚きました。 参考にさせて頂きます。