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ベンゾトリアゾールの銅表面への吸着挙動について
- ベンゾトリアゾールは銅表面にどのように吸着するのか知りたいです。
- ベンゾトリアゾールの銅表面への吸着に関する情報を教えてください。
- ベンゾトリアゾールの吸着挙動に関する文献を教えてください。
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この化合物中のN-N部分は、隣の二重結合と実は共鳴構造をとっており、化学式上は単結合(σ結合)ですが、2重結合と単結合の中間的な性質になっています。 さて、N-N部分を合成した場合、この窒素原子は、結合に寄与する電子のほかに、非共有電子対という電子の軌道をもっています。この電子が銅表面に吸着される可能性はありますが、恐らく、吸着⇔脱離 の平衡状態になり、あまり、吸着されないと思います。但し、N-Nの両方の非共有電子対がちょうど平衡に向くような立体構造の分子であれば、いくらか、2重結合性を持ってきますので、吸着されると思います。 銅メッキの析出抑制効果については、おっしゃるとおりだと思います。実験した事はありませんが、精度の高い電流計を用いて、電圧電流グラフを作ってやれば、ある部分から急に電気が流れ出すような気がします。
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有機化合物の金属への吸着は、一般的には、物理吸着と考えられています。 金属は、金属結合といい、自身の持っている電子を結晶全体で共有する形を取っていますが、これに寄与しない形でd軌道電子というのが、表面に存在します。 このd軌道電子と有機化合物中の2重結合もしくは3重結合のπ電子が相互作用して吸着されます。 よって吸着される有機化合物は酸素原子(O)、窒素原子(N)などを成分として含んでいる場合がほとんどです。 ベンゾトリアゾールはベンゼン環とN-N=N部にπ電子をもっていますが、立体構造から考えて、N-N=N部が吸着されて、金属表面に単層を形成していると考えます。金属表面から外に向いたベンゼン環は疎水性ですので、水分を金属表面から遮断し、銅表面の耐食性を向上させます。ニッケルなどの脂肪酸アミンも同様のメカニズムです。
補足
とても分かりやすい説明、ありがとうございました。もう二つお聞きたいことがあるのですが、よろしいでしょうか?一つ目はN-N=Nの単結合の部分(一番左のNの部分)にある物質を合成した場合、金属表面に吸着はするのでしょうか?もしくは吸着力は弱まるのでしょうか?二つ目はベンゾトリアゾールを銅皮膜表面に前吸着させて、分極装置を使って銅めっき浴(硫酸銅と硫酸のみ)中で測定した限りでは金属析出を抑制している結果が得られたのですが、これはエノキボリさんが言われているように、ベンゼン環の疎水性作用が大きく影響しているのでしょうか?よろしくお願いします。
お礼
なるほど。ありがとうございます。すごく納得できました。またご指導のほどよろしくお願いします。あと、何かベンゾトリアゾールに関する論文とかはないでしょうか?なければいいのですが。。。