国立循環器病研究センター>循環器病あれこれ > [42] ここまできた人工心臓
無拍動流型人工心臓
これまで人や動物が、拍動のない状態で生存できるとは考えられていませんでした。しかし、米クリーブランドクリニックでの無拍動流型人工心臓を使った動物実験によって、無拍動流でも3か月間、動物が生存したことが報告されてから、血液ポンプとして無拍動流が注目されるようになりました。無拍動流ポンプは、拍動流で必要とされる人工弁が不要であること、耐久性が向上する可能性があること、体格の小さな患者への応用も容易なシステムになり得ることなどの利点があり、世界の多くの研究チームが開発を進めています。
無拍動流ポンプの画期的なシステムとして、患者さんの胸を切り開かずに、血液ポンプ本体を大動脈内に留置する「大動脈内軸流血液ポンプ(ヘモポンプ)」が開発されました<図9>。
その後、無拍動流ポンプの一つ「軸流ポンプ」の臨床応用が始まり、1年以上の補助例もみられるようになりました。<図10>にその一つであるジャービック2000を示します。しかし、軸流ポンプは高速回転を必要とするため、その耐久性に問題があると考えられています。このため長期使用には、もう一つの無拍動流ポンプである「遠心ポンプ」が優れているとして、数社が臨床試験を目指してシステムの検討を進めています。
また、無拍動流血液ポンプを用いた長期補助による生理学的な影響についても研究が進められています。今後の臨床応用でも、拍動がないことの影響には、注意深い検討が必要と考えられています。
お礼
有り難うございます 未だ、研究中 なのですね 判りました