>血液路に、ついてですが、内側を、本人の、血管内皮シートを張り、満たす此は、可能ですか?
回答No.1に貼った参考URLの内の2つめの「人工臓器用材料に対する生体反応」の7枚目(p.528)には
>細胞付着の項で述べたように,材料表面に細胞結合性タンパク質を固定化しておくと,細胞がよく増殖するうえに,細胞から産生されたコラーゲンともよく接着する.
と書かれていますし、下記の参考URL
【参考URL】
J-STAGE > Japanese > 資料を探す > 分野別一覧 > 臨床医学/ジャーナル > さ > 人工臓器 > Vol.44(2015) > 人工血管の現状と最近の進歩 本文PDF
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jsao/43/3/43_175/_pdf
J-STAGE > Japanese > 資料を探す > 分野別一覧 > 臨床医学/ジャーナル > さ > 人工臓器 > Vol.43(2014) > 人工血管 本文PDF
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jsao/43/3/43_167/_pdf
には、
>組織工学を応用した人工血管(tissue-engineerd vascular graft:TEVG)には関しては,骨髄幹細胞を人工血管に注入して使用する人工血管,吸収性ポリマーが体内で徐々に吸収される性質を利用した再生血管,ヒト由来の材料を用いて三層構造をもった人工血管を体外で作製する培養人工血管,内因性サイトカイン活性型人工血管などが存在する。
>生分解性ポリマーであるpoly(lactic-co-glycolic acid)(PLGA)(glycolic acidとlactic acidの比率が90:10の共重合体)とコラーゲンマイクロスポンジからなるシート状のscaffoldを作成した。このパッチをイヌの肺動脈主幹部に移植することで,2ヶ月後にはPLGAは完全に吸収され,パッチ部が内皮細胞および平滑筋細胞からなる血管壁構造に再構築されていることを示した。
などとありますから、おそらくは不可能ではないとは思います。
しかしこれらの例は、人体内で患者本人の組織と入れ替わる事で、埋め込んだ素材が消滅して影響を残さない様にする事を目的としているものであって、体外で長期間使用する配管に用いる事が出来る様にするものとは方向性が少し異なります。
上記の人工血管は、埋め込んだ素材が徐々に消滅して行く様に設計されているものなのですから、そのままでは体外の配管には使用する事は出来ません。
あくまで、上記の人工血管の技術の一部を応用すれば、質問者様が求めておられる
>血液路に、ついてですが、内側を、本人の、血管内皮シートを張り、満たす
という事が可能になる「可能性がないわけではない」という話に過ぎず、質問者様が求めておられる様な体外で用いる血液路としては、研究がどこまで進んでいるのかどうかは存じません。
それに、肺や腎臓の場合、薄い毛細血管壁を介して酸素や老廃物といった物質交換を行わねばならず、それを人工的に再現するためには、一部の物質のみを透過する性質を持つ半透膜を使った細管内に血液を通して物質交換をしなければなりません。
そんな所の内壁に本人の血管内皮などという余計なものが形成されてしまったのでは、酸素や老廃物の透過性がガタ落ちになってしまい、まともな性能を得る事が出来なくなりますから、本人の血管内皮細胞を利用する方法では問題の解決法にはならないと思います。
だからと言って、人工物の内壁に血液が直接触れる様な構造では、蛋白質の沈着や血栓の形成を完全に防ぐ事が出来るほどの技術は未だ開発されておらず、毛細管レベルの小径の血液流路を長期間使用し続ける事には未だに課題が多いそうです。
例えば、血栓の形成を抑制するために抗凝固剤を合わせて投与する必要があり、これは血が固まり難くするための薬ですから、長期間の人工臓器の連続使用のために抗凝固剤を投与し続けるという事は、血友病と同様に怪我をした際に血が止まり難くなるという状態が常に続いているという事になりますので、危険を伴う事になります。
>透析が必要な程では、ないのですが母は腎臓を、患っています。
>肝臓以外なら外部装備で、補完できる可能性は、ありますか?
携帯式や体内埋め込み式の人工腎臓に関しては、1980年よりも以前から研究が続けられており、いつか未来においては実用化される日が来るものと思われます。
しかし現段階では完全なものは開発されていないのが現状です。
それと、本物の腎臓では、血液中に含まれている成分の内、低分子量のものを一旦、血液から分離して尿の素となる液体を作り出した後、その尿の素の中に含まれている有用成分を再吸収して血液中に戻すという機能があります。
それに対して、現在研究中の人工腎臓は透析装置を小型化したものに過ぎず、再吸収を行う機能はありません。
そのため、アミノ酸やリン、カリウムなどの一部の有用成分に関しては、必要なものであるのにもかかわらず血液中から過剰に除去されてしまうという問題があります。
【参考URL】
J-STAGE > Japanese > 資料を探す > 分野別一覧 > 臨床医学/ジャーナル > さ > 人工臓器 > Vol.43(2014) > 人工腎臓 本文PDF
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jsao/43/3/43_175/_pdf
※上記URLに掲載されているpdfファイルの「2)長時間透析」の項を参照のこと
それに、もし今日にでも実用化可能なレベルの携帯式の人工腎臓が製作されたとしても、性能や安全性を確認するために動物実験を経た後で、臨床試験も行わねばならず、実用化されるまでには10年単位の年月が必要となりますので、質問者様の御母堂がそれまで待つ事が出来るのかどうかという問題があるのではないでしょうか?
お礼
有り難うございます