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アミンの構造式の図ついてなんですけど
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>Nの上にある丸はどういう意味があるのか? 他の原子との結合に関わっていない軌道上に存在する電子を表しています。 量子力学では電子の様なフェルミ粒子は、複数の粒子が同時に同一の状態になる事が出来ないため、同一の軌道という状態に存在する事が出来る電子の数は電子が持つスピン(角運動量)の方向が異なる2個(スピンの値が+1/2のものと-1/2のものの2個)までに限られます。 原子核の周囲において電子が採る事が可能な軌道は、原子核からの距離の違いにより内側(原子核に近い側)から順にK殻、L殻、M殻、N殻、O殻、P殻・・・という「殻」と呼ばれる層により区分けされており、各々の層に存在す電子軌道の数はその層において取る事が可能な軌道の形状の自由度の違いを表す「方位量子数」や「磁気量子数」の違いによって異なっており、最も内側の殻であるK殻には1s軌道というたった1つの軌道しかないのに対し、内側から数えて2番目の殻であるL殻には2s軌道が1つと2p軌道が3つ(2px軌道、2py軌道、2pz軌道)の合計4つの軌道があります。 先述しました様に各々の軌道には電子が2個までしか存在する事が出来ません。 電子はなるべくエネルギーの低い安定な状態になろうとしますから、電気的な位置エネルギーが低くなる原子核の近い位置にある軌道に収まろうとします。 そのため複数の電子が原子核の周囲の軌道上に存在する場合、内側にある殻から先に電子で埋まって行く事になります。 窒素原子には電子が7個存在しますから、最も内側のK殻は2個しか電子が存在出来ないため真っ先に電子で埋まってしまうのに対し、2番目のL殻には電子が5個存在する形になっています。 先述しました様にL殻には4つの軌道がありますから、そこに5個の電子が分散して収まる事になりますので、電子が1個ずつ収まっている軌道が3つと、電子が2個収まっている軌道が1つ生じる事になります。 電子軌道が完全に埋まった状態となる方が原子は安定な状態となりますので、原子は別の原子との間で電子の一部を共有する事で、相手の原子から借りて来た電子で軌道を埋めて安定になろうとします。 原子核の周囲に存在する電子を互いに貸し借りし合うためには、その2つの原子は最外殻の電子軌道の一部が重なり合う様な位置関係を維持しなければなりませんから、それらの原子は離れる事が出来ず、概ね一定の距離を保ったままの状態、即ち結びついた状態となります。 これが共有結合の原理です。 先述しました様に窒素原子には電子が1個ずつ収まっている軌道、即ち、結合相手の原子から電子を1個ずつ借り受ける事が出来る軌道は3つありますから、窒素原子は共有結合に使う事が出来る原子価が3つある事になります。 その一方で、窒素原子の最外殻には既に電子で埋まっているために共有結合に使う事が出来ない電子軌道が1つあります。 この共有結合に使う事が出来ない軌道に存在する2個の電子を表しているのが、御質問の >Nの上にある丸 なのです。 【参考URL】 孤立電子対 - Wikipedia https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%AD%A4%E7%AB%8B%E9%9B%BB%E5%AD%90%E5%AF%BE フェルミ粒子 - Wikipedia https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%95%E3%82%A7%E3%83%AB%E3%83%9F%E7%B2%92%E5%AD%90 電子配置 - Wikipedia https://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%9B%BB%E5%AD%90%E9%85%8D%E7%BD%AE スピン角運動量 - Wikipedia https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B9%E3%83%94%E3%83%B3%E8%A7%92%E9%81%8B%E5%8B%95%E9%87%8F 電子殻 - Wikipedia https://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%9B%BB%E5%AD%90%E6%AE%BB s軌道 - Wikipedia https://ja.wikipedia.org/wiki/S%E8%BB%8C%E9%81%93 p軌道 - Wikipedia https://ja.wikipedia.org/wiki/P%E8%BB%8C%E9%81%93 共有結合 - Wikipedia https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%85%B1%E6%9C%89%E7%B5%90%E5%90%88 >N-R2は単結合を表しているのか?(この結合の線がなにを意味しているのか?) 分子を立体的に考えた場合を考慮しているのか? >N-R3は単結合を表しているのか?(この結合の線がなにを意味しているのか?) 立体的に考えたとしてこの図では奥行的な部分? 質問者様が添付された画像には「N-R3」存在しておりません。「N-F」の間違いではないでしょうか? 「N-R1」、「N-R2」、「N-F」の3つの結合は、いずれも単結合を表しています。 「N-R1」の様な太さが一定の線分で描かれている結合は、中心となる原子(この場合は窒素原子)と結合相手(この場合はR1)との間を結ぶ結合が、図が描かれている紙面に対して平行となっている事を表しています。 それに対し、「N-R2」の様な黒塗りの細長い楔形で描かれている結合は、中心となる原子(この場合は窒素原子)と結合相手(この場合はR2)との間を結ぶ結合が、図が描かれている紙面に対して手前に向かって飛び出している事を表しており、楔形の幅が太い方(R2側)が手前で、細い方(N側)が奥側になります。 同じく、「N-F」の様な短い線を積み重ねた様な破線(?)で描かれている結合は、中心となる原子(この場合は窒素原子)と結合相手(この場合はF)との間を結ぶ結合が、図が描かれている紙面に対して奥側に向かって伸びている事を表しています。 【参考URL】 化学式 - Wikipedia > 4 構造式 https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%8C%96%E5%AD%A6%E5%BC%8F#.E6.A7.8B.E9.80.A0.E5.BC.8F
お礼
懇切西寧な回答ありがとうございます。 非常に理解しやすかったです。