『ジョジョ』はなぜ人気があるのか
荒木飛呂彦『ジョジョの奇妙な冒険』は根強い人気を持つ作品で私も大好きなのですが、最近「なぜこの作品はこんなに人気があるのか?」と思うようになりました。
そう思い始めたきっかけは、富野由悠季の一連の作品(「ガンダム」や「伝説巨人イデオン」)を視聴したことです。
実際に見た方はお分かりでしょうが、富野作品ではただ単に戦争をするだけでなく、「なぜ人は争うのか」「なぜ人は殺しあうのか」と自問自答したり、「愛しい」「憎い」と思い悩んだりする人間たちが描かれていますよね。
あるいは、そう思い悩んだ末に成長する人間たちの姿が描かれています。
ところが、『ジョジョ』のキャラクターはほとんどが皆「黄金の精神」や「強い意志」を持っており、思い悩んだり成長したりする姿はほとんど描かれません(『ジョジョ』で悩んだり成長するキャラクターといえば、4部の広瀬康一・虹村億泰と5部のペッシぐらいではないでしょうか)。
彼らはガンダムの人物のように「なぜ人は殺しあうのか」などと悩んだりせず、自分の正義や美学をまっすぐに信じ、仲間を守り、敵を殺すことを貫徹してみせます。
典型的なのは吉良吉影で、富野作品なら「なぜ私はこんな性癖に生まれてしまったのか」「どうして人殺しをやめられないのか」などと思い悩みそうなものですが、荒木作品においては、そんな悩みなどなく、彼は「人殺しのサガを背負っているが幸福に生きてみせる」と前向きです。
以上のように人間の悩みや成長が希薄な『ジョジョ』ですが、この作品はどうしてこんなに愛されるのでしょうか。
※最初にも書きましたが、私は『ジョジョ』は大好きです。大好きだからこそ、なぜこんなに人気ある作品なのか知りたいのです。