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環境問題について
質問します。ときどき環境問題が貧困問題や人口問題からひきおこされるといわれることがありますがなぜでしょうか?
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ときどき「環境問題が貧困問題や人口問題からひきおこされる」といわれることがありますがなぜでしょうか? 環境問題と、人口・貧困問題の関連は20年ほど前から取り上げられているんですが 非常にややこしい問題なので長文でご説明を。 構図を解くときには、「人口問題」と「貧困問題」を種別しておく必要があります。 この両者も関係性があるんですが、人口問題は 1)社会システムが不安定期から安定期に移行した段階で安定するタイプ 社会全体の活力などが元になるタイプで、一般的に『工業力の増大』 『大都市の形成』を伴って発生します。 例としては現在の中国や、戦前戦後の日本。 2)社会・経済の不安定から発生するタイプ 貧困からの脱出を目指して発生するタイプ。 一般的に、若干の『農業 牧畜生産量の増大』と『一部の工業力増大』を伴って発生しますが、人口 増加が生産力の増大を上回り、飢餓・貧困を助長する例が多く見られます。 の両者が混在しています。 1)の場合は工業力の増大や都市化が顕著なので、大気・水への環境汚染が激しく 進行しますし、工業用地・都市建設用地確保のための自然破壊(森林伐採・資源 採掘)という『工業化都市化が発端になった環境破壊』という図式が見えますが ある程度工業化が進めば、余剰となった経済力が環境保全に振り向けられる&法体 系の整備が進捗するため、環境破壊のペースが落ちるという事が期待できます。 ※:日本や中国の例でもそうですね。 最初は生産にだけ人・物・金を投入していましたが、成熟してくると 環境保全に力を入れないと工業化の維持が出来ないので(環境破壊が 進みすぎると工業化どころの話じゃないですから)それまで破壊に 向けられていた人・物・金が保全に投入されると。 つまりは「まぁ将来的には何とかなるって期待の持てる性質の環境破壊」です。 □ 深刻なのは2)です。 社会・経済システムが不安定ですと、人口・食料・燃料問題が『同時に』発生 します。 つまり『人口が増えすぎて食料・燃料問題が起きる』ってのと『食料・燃料問 題が発生して人口が増える』っていう、両方の面があるわけですね。 これは、どちらも難しい問題で、キーワードは「貧困からの脱出を目指す」こ とと「避妊等の手段の遅れ」でしょうか。 ※:貧困からの脱出 労働の報酬は「単位時間あたりの労働賃金(質)と労働力(量)」 のかけ算なのはであるのは万国共通です。 で、社会の最小社会単位は「家族」ですが、その家族が貧困に直面 したとき、そこから抜け出す方法としては労働の質を上げるか、量 を増やすかの二択になります。 ところが、途上国の場合は『簡単に質を上げる手段=教育と機械化』 が家族にないため、勢い労働力の増加、すなわち「家族を増やす= 子供を作る」になっています。 妊婦は出産の極短い期間を除いて労働にいそしみ、生まれた子供は 十分な養育の手間・期間もかけられずに労働に従事ため、出産日 以外は労働力が増加する(ように見える)んですな。 もちろん、意図して出たわけでなく、人間の本能みたいなレベルで 発生する構図です。 不安定な生活から、「まともな生活に以降したい」になると、「労働力の増 加」しか対策がない、しかも避妊方法の欠如による人口増加は発生する....っ て構図ですね。 この段階で問題が発生します。 a)農業用地・薪炭確保のための環境破壊 焼畑面積の増大、森林伐採による薪炭確保。 例えば、先進国の「燃料が薪炭に依存する割合」は、先進国ですと 1%程度ですが、アフリカ50%程度/アジア・ラテンアメリカ15% 前後/発展途上国平均20%程度。 b)一次産品貿易等の増加(と問題) 非工業化諸国において経済を発展させようと努力する場合、一般的には 初期段階では輸出用の一次産品貿易量を増大させようとする。 この段階で、例えばアマゾン地域や中央アメリカでは、輸出用の牛の飼育 により熱帯林が減少し、アフリカでは綿花等の輸出作物生産が大規模農場 で経営される一方、土地を失ったor零細な自給農民が耕地を求めて熱帯林 の減少や砂漠化を引き起こす。 開発途上国をとりまく対外的経済環境は、近年、厳しい状況にある(第3-2-7図)。 また、輸出用一次産品生産の際、再生可能限度を上回る過度な環境利用等により、貴重な資源が減少したり、環境破壊を招いている事例が世界各地で生じている。 まず。輸出用の商品作物等の生産のため、熱帯林が大規模に耕地・牧草地に転換され減少している地域がある。ブラジルのアマゾン地域及び中央アメリカでは、輸出用の牛の飼育が熱帯林を減少させる主な原因となっている。例えば、ブラジルのアマゾン地域では、1966~78年の間に800万haの森林が336ヶ所の牧場に転換され、そこで600万頭の牛が飼育されるようになった。またアフリ力では、綿花等の輸出作物生産が大農場で経営される一方で、土地を失ったか、あるいは零細な自給農民が耕地を求めて熱帯林の減少や砂漠化を引き起こしている例もある。 一方、主にラワン材と呼ばれるフタバガキ科の樹木の世界最大の輸出地域である熱帯アジア地域における利用対象とされる樹木の資源量をみると、その量は減少しており、1980年末現在30億m 一次単位面積あたりの農業生産が低いと、飢餓問題と同時に「人口を 新しい 農地開発のための環境破壊」が発生します。 ※:農地開発のための環境破壊 焼畑の増大、 ところが、システム等の安定が伴わないので、何時までたっても人口と食料供給の バランスはとれませんし、1980年代に入り、世界的な需給の緩和を背景として一次 産品価格は低迷しるため、一次産品輸出に多くを依存しているサハラ以南のアフリ カ、ラテンアメリカ諸国等の貿易収支は悪化しています。 また、累積債務問題についてもラテンアメリカ諸国を中心に深刻化し、返済のため の元利払いも増大しています。 こうした対外収支の悪化は、経済成長の阻害生存のために必要な食糧等の輸入の制 約等により貧困を悪化させる要因となります。(ラテンアメリカの対外債務問題) つまり1)とは違って「将来的にも継続する環境破壊」ですな。
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- hippopo
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環境問題は分野が広いので一つの答えが全てに当てはまらない事を前提としてお答えします。直接的に貧困や人口問題が原因となるものの一例が砂漠化と森林破壊ですね。増える人口を維持するために(短期ローテーションの焼畑や家畜の大量放牧等)無茶をしすぎると自然の回復が追いつかなくなるためです。この砂漠化・森林破壊がCO2問題・温暖化問題の引き金になっている事が質問の一面的な回答になります。 また、日本が敗戦から高度成長への移行時に水銀やカドニウムなど公害を垂れ流した時期が在りましたが貧困国から工業国への脱皮化の中で過去の日本で行われた同じフェイズに入っている国がたくさんあります(例えば日本の酸性雨問題の一因は中国の無理な工業化によるものといわれてますね)これも「貧困からの脱却」が原因と言われます。 さて、ではなぜ「ときどき」なのか?これは先進国のシステム維持やエゴが原因となるものも多いのです。このように立場や経済システムや国策などスタンスが複雑なために問題解決の足並みすら揃わないのが環境問題の実情です。 こんなところで回答の糸口になったでしょうか?
お礼
たしかにエゴやシステム維持によるものは目に見えていても複雑でとりあげられないような気がします。いい見解をありがとうございます。
- rie_ys
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- 12m24
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どちらも似たような構図ですが、出発点が異なるかと。 貧困→産めよ増やせよ→人口が増える→食料が不足がちになる→回復能力以上に森を切り開く→世界的な環境破壊につながる と言うのは、勝手な想像です、
お礼
確かにそうですね。回復能力以上の開拓が問題にあるのは新発見でした。
お礼
詳細に書いていただいてありがとうございます。すごく丁寧に書いていただいたので、ぜひ参考にさせていただきます。