簡単に言うと、
「パワーエリート論」(C.W.ミルズ)
↓
「多元主義論」(R.ダール)
「仕切られた多元主義」(佐藤誠三郎)あるいは「官僚制多元主義」(青木昌彦)
という流れを押さえておく必要があります。
●パワーエリート論
政・軍・財の少数のインナーサークルが国家の意思決定を握っているという考え方です。ミルズは第二次大戦後のアメリカ社会を分析して、少数のパワーエリートが社会を動かしており、大衆は政治的アパシー(無気力)に陥っているという説をとりました。
●多元主義論
R.ダールは、コネティカット州のニューへブン市の政策決定過程を詳細に調査し、実際の政策決定過程は政策分野によって異なることを発見します。つまり、パワーエリート論のように全てにわたって少数の特定集団が意思決定するのではなく、それぞれの分野で、複数のプレイヤー間での相互作用の中で意思決定が行われるという考え方で、ダールはこれを肯定的に評価します。
(補論)●利益集団自由主義(t.ローウィ)
ダールが肯定した多元主義を否定したのがローウィです。多元主義は、結局既得権を持った利益集団が新規参入を排除してやりたい放題やっていて、それに政府がお墨付きを与えているような状況であり、評価すべきものではないという考え方です。
●仕切られた多元主義、官僚制多元主義
ローウィのような考え方を日本に当てはめるとこうなります。お分かりのとおり、政・官・財のトライアングルが縦割り的に存在していることを指しています。
政治学、政治過程論の教科書を通読すれば大体流れは分かるかと思います。特に、村松岐夫、大嶽秀夫など京大系の政治学者がこの辺の分析については専門となります。