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前立腺癌の現状と予後について|専門家のアドバイスが欲しい
- 父の前立腺癌についてのアドバイスを求めます。癌の状態は進行しており、今後の治療法や予後についても不安があります。
- 父はホルモン療法を受けており、一時的に効果がありましたが、最近は効果がなくなりつつあります。
- 担当医からは化学療法(ドセタキセル)を始めることが提案されていますが、副作用や治療の予後についても知りたいです。
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まず落ち着きましょう。医療従事者であるのであれば理解できるはずの内容すら疑問に思うほど混乱してらっしゃいます。1つずつ回答します 1)カソデックスという経口ホルモン薬が原因でPSAが上がっている可能性(ケース)というのは、実際にどれくらいあるのでしょうか? A.多くはありません。基本的にカソデックスはLH-RHアナログなのでPSAは下げる方向に行きます。しかし、タキフィラシーは常に起こり続けるわけではなく受容体の脱感作などを通じて結果的にはPSAを上昇させてしまう(抵抗性に変わる)ことは長期連用では報告はある程度あります。 2)PSA値がまた上がり始めたのに、ALP値がまだ下がり続け体感的にも痛みが減るような事はあるのでしょうか?これは単なる時間的なギャップで、またすぐにALP値上昇、痛み復活が予測、予想される(化学療法をしないのであれば)のでしょうか? A.混乱なさってます。PSAはあくまでも前立腺がんについての検査項目であって骨転移の程度を示すものではありません。既に骨転移している場合であってもPSAとALPには常に相関があるわけではなく、基本的にPSAが高値に転じてからALPが高値になるまでには時間を要します。特にホルモン療法の結果、前立腺がんと骨転移部位が離れた場合はすぐにALPが上昇しないこともあります。この点はきちんと生理学的にお考えになってください 3)ドセタキセルについて調べてもそれほど詳しい情報が見つけられませんでした。個人差は承知ですが、担当医の方の説明のように「副作用で苦しむ」という旧来の副作用のイメージではない、副作用がかなり抑えられた薬であると認識して良いのでしょうか?最初は入院して様子を見るが、通常は通院治療になるという説明を受けているので、そうであればそんなに副作用がないと考えてよいのかなと楽観的に捉えてはいるのですが、現実がどうなのか知りたく思っています。 A.これも混乱してらっしゃいます。まずレジメンをきちんと見ましょう。 ドセタキセルはタキサン系の抗がん剤で微小管の重合を阻害し抗腫瘍効果を示す『従来通り』の医薬品です。イレッサやハーセプチンなどの分子標的薬とは異なり、副作用は単剤で用いる場合は従来通りの苦しいものになります。 しかし、前立腺がんに限らずドセタキセルなどの抗がん剤を使う場合には、現在副作用対策が極めて効果的に確立されています。吐き気には予めセトロンなどを用い、その他にもステロイドやH1,2ブロッカー、NKR拮抗薬などを用いることでほぼ全ての副作用を抑えることが可能になっています。つまり、患者さんご自身が感じる副作用はほぼ克服できているのです。 ちなみに通院治療になるというのは感染管理を行わなければならないほどの(骨髄抑制が起きるがGM-CSFで対処する)ことをしないという意味と副作用をほぼ完全に管理できるからであり、治療が楽なわけではありません。ただし、基本は通院治療になるというのはその通りです。GM-CSFで対処できないほどの骨髄抑制が起こる場合などに限り入院となります。そのため感染症対策だけは治療中完璧に心がけてください 4)そして、このPSAの再上昇がカソデックスのせいではなく、このままドセタキセル治療を開始するとして、今までの経緯から考え、予後を含め、家族として(本人もですが)どれくらいの覚悟をするべきと考えられますか?例えば予後としては1年くらい持つ可能性が高いとか、もっと短いとか・・・。通院治療という事なので、数ヶ月という訳ではないと認識はしているのですが、介護の問題もあり、ある程度予想される今後の経過について(個人差は承知です)何らかのアドバイス、コメントを頂けたらと思っています。 A.これは骨転移の画像を見ないと判断ができません。また、検査値なども見なければ何とも言えません。 ただし、今後ドセを始めるとして奏功率は50%を超えます。重要なのは骨折させないことです。骨折からの寝たきり、誤嚥性肺炎による死亡は骨転移性の前立腺がんでは極めて多く認められます。重要なのはQOLを維持しつつ、骨転移部を治療することでSrによる治療なども検討するべきではないかと考えます。 少なくとも、現在の標準的な治療を行う限りであれば1年以上は持ちこたえる可能性が極めて高いと思われます。
お礼
まず大変丁寧なご説明、ご回答を感謝いたします。お恥ずかしながら医療従事者と言えども現在あまり生化学関連の数値などに直接関連しない日常を過ごしている為、説明されれば理解できるものの(言葉・用語になじみはあり説明は理解できるものの)、自分で論理的な結論を導き出すだけのアクティブな知識はありません。ちなみに近い関係にある精神科の医師にも同じ事を聞いたのですが専門外なので全くわからないと一蹴されました(笑)。というわけで少しこの点は自己弁護っぽくなりましたが、知識と知恵は足りないものの落ち着いていることは落ち着いており、頂いた説明はほぼ完全に理解できました。 繰り返しになりますが、ひとつひとつ、それぞれについて本当に丁寧に専門知識も交えわかりやすく説明頂き、非常に感謝しております。そして何より、一年以上は持ちそうということで安心致しました(個人差がある事を承知でのコメントです)。重ねてありがとうございました。