今回ネットの意識調査を確認してみて、産経と読売をのぞく各報道機関の世論調査と比べて際だった特徴があることに気がつきました。年齢の高い層ほど一般紙の世論調査とズレが大きくなり、安倍政権の安保法制にも賛成が多くなるという点です。
その理由を、高い年齢層(特に男性)でネットに親しみ、かつ政治的な主張をしたがる人にはネトウヨ的思考法を身につけた人が多いからだと考えました。世間一般のおじさん、おじいさんというのはネットに張りつく習慣がないほうが普通かと思います。若い人では一般紙とネットの差が小さくなりますが、これはおじさんたちの逆、つまり若い人はネトウヨさんであろうとなかろうと普通にネットを使いこなしているため、ネトウヨさんでない人も回答する数が増えるからなのでしょう。
それにしても、なぜネトウヨさんはネットに集まるのでしょうね。まあ、ネットにこだわらない右翼はただの右翼だからという話は置いておいて、やっぱりネットだと仲間が見つかるし、彼らにとって非常に都合のいい情報収集、情報発信の場だからではないでしょうか。
ネトウヨさんの特徴としてあげられるものに、客観性の乏しい事実認定とか、些末な事象を拡大解釈する針小棒大な論理展開、あらゆる事柄に党派的な予断をもってのぞむ思いこみの強さ、などがあります。こういう思考形態に慣れ親しんだ人にとって、ネットは彼らに望ましい事実と論理がパッケージされて上げられている、とても便利で都合の良い空間なのだと思います。
問題となっているテーマについて専門家が書いた本を読み比べたり、自分で事実関係を評価したり、自分なりの見解を構築する手間を省けるのですから、たしかに便利なことはまちがいないでしょう。いささか安直にすぎる気もしますが。
また、ネットを覗けば同志が大勢見つかりますから、世間的な評価や評判を気にすることなく自己肯定がはかられます。すると今度は逆に自信をもちすぎて、自分と違う考え方をする世間のほうがまちがっていると主張しだすわけですが、同志のあいだで言い交わしているあいだはそれで一向に問題がありません。
たとえば今回の各報道機関の世論調査に対する彼らの反応など、その最たるものです。自分にとって都合の悪い世論調査は「そっちのほうがまちがっている」とほとんど言いがかりのような難癖を付けます。世間的にはまったく通用しない論法なのですが、ネットの世界では賛同してくれる人がいっぱいいます。
要するに、インターネットの世界の安直さはネトウヨさんにとって都合がよく、かつ同じように感じている仲間たちが大勢いることで、なおさらそこは彼らにとって心地よい空間へと変わっていきます。しかし問題は、そこでは事実も論理も重視されないという致命的な欠陥があることです。まさに悪貨は良貨を駆逐する、の典型です。
世間でも悪貨は流通していますがネットほど蔓延していないのは、しょせん価値の低い悪貨は実際に使用する現場では「価値が低い」という現実から逃れられないからでしょう。
今回の安保法制についていえば、たとえ保守派であっても政府与党の支離滅裂な説明や強引な姿勢は「おかしい」と感じる、まともな感覚を持った人がネットよりたくさんいるのだと思います。
補足
正直現在のアメリカの状況をみると、そのような権力はない気がしますが。 まあ中国も同様ですが、逆に中国の危機感があれば強行するかもしれませんね。 5%? そうですか。 じゃあ実際に5%の人が政治に関心があるとして、それが意見となり得ますか? 答えはNoです。