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ブレーキしたときの摩擦力とは?
- ブレーキをかけると列車は摩擦力によって停止します。
- 図の力Qは動摩擦力であり、進行方向と反対の向きに働きます。
- 停止するためには回転速度を落とす必要があり、FR>QRの条件を満たす必要があります。
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(1) 車輪が滑らず進むためには車輪の回転速度ωと車両の進行速度vとの間に v=Rω の関係が満たされる必要があります。そうでないと、車輪の回転によって進む水平距離と車両の進行速度によって進む水平距離に違いが出て、車輪とレールの間に滑りが生じることになります。平常状態で走る場合はこの条件が満たされていて、摩擦としては転がり摩擦が作用しますがこれは小さい値なので今回の場合は無視できます。 ブレーキをかけるなどしてv、ωのバランスが崩れると次のようになります。 a. v>Rωの場合 図で車輪がレールにより後方向きにこすられる傾向が生じ、車輪は後方向きの摩擦力を受けます。 b. v<Rωの場合 上記と逆の現象であり、車輪は前方向きの摩擦力を受けます。 しかし、車輪とレールの間に相対的な速度が生じないような状況を想定するので実際にこのような事態になること(v>Rωやv<Rωになって滑りを生じること)はここでは考えません。 (2) 車両を止めようとしてブレーキをかけると力Fを作用させることになり、これにより先ずは車輪の回転速度が減速される方向に行くと考えられます。すると上記のv、ω関係が乱されて車輪とレールとの間に相対速度が生じようとすることになります(これはまだ、実際にはそうなっていないと考えて下さい)。このことにより、(1)aに述べた説明に従って、車輪側から見れば図の力Qが作用することになります。力Qはレールとの相対速度が実際に生じる前にこれを打ち消そうとして作用します。従ってこの力Qは静止摩擦力です。この摩擦力Qの作用によって調整が行われ、車輪とレールの間に相対速度が生じないようにv=Rωが保たれます。 QはブレーキFのきかせ方によりゼロから限界の値(Q0)まで大きくなりますが、摩擦力なので、Fを大きくして行くと回転の減速も大きくなりこれによってQも大きくなりQ0(Qの限界値)以下の限度内であれば滑りが生じないようにQの値が調整されます。つまり結果的にはFを大きくした場合v=Rωが保たれたままQが大きくなり、車両の減速、車輪の回転の減速が共に行われます。Qの値はFによって決まると同時にその時点でのv、ωや車両の質量、車輪の慣性モーメント等による影響も受けて変化します。 ここで、車両の水平速度が減速してもFが大きくなったときにQも大きくなったのでは結局車輪の回転が減速しないのではないかという疑問が出てくると思います。実は「F<Qを満たさないと滑走する」と言うのは不正確で、正しくは「F<Q0」とすべきです。F<Q0であればF>Qとなっても問題はありません。と言うかF<Q0であればF>Qとなることはなく、F=Qに調整されます。そのように調整されるのがQの摩擦力です。F=Qなら回転は維持されるのではと言う点については次のように考えられます。車両の減速により新しいv、ωのバランス点はωが減速された点となります。つまり、ωが大きいままだとこの事により(1)bに基づいてQに前方方向の成分が加えられます。もともとQは後方向きに作用していたので結局Qは前方方向の成分が加えられる事によりその値を減少させ、その結果、全体としてFがわずかにQを上回って(Q0の限度内を保ちつつ)バランスさせながら、v、ω共に減少して行く事になります。 (3) 簡単にまとめると以下のようになります。 ●ブレーキFを作用させると車両の水平運動と車輪の回転運動のバランスが崩れて車輪とレールとの間に滑りが生じる方向に向かおうとしますが、滑りが生じる前に摩擦力Qが発生し、Qの値の変化によりF=Qの状況が保たれるよう調整されます。この調整により滑りは生じません。Qは車輪とレールとの間の滑りを防ぐと同時に車両の減速の役を担います。 ●F>Q0となるようにFを作用させた場合には、摩擦力はQ0の限度を越えられないので、車両の水平運動と車輪の回転運動のバランス調整が不可能となり、車輪とレールとの間に滑りが生じます。 ※F>Q0として滑りが生じても静止の面からは大きな問題はないと思いますが、滑り摩擦と静止摩擦の違いによる効率の差とレール・車輪のメンテナンスの観点からは多少違いが生じると思います。 ●Qによって車両の水平速度vは減速し、Q=F、v=Rωを保ちながら車輪の回転ωも減速します。 ※参考までにF一定としてちょっと計算してみると、 運動式: Mv'=-Q Iω'=R(-F+Q) 滑り無し条件: v=Rω これを解くと、v、ωは直線的に減少し、止まるまでの時間は T=(I+MR^2)v0/(R^2F) となるようです。
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- tgb
- ベストアンサー率78% (32/41)
No.4の回答の参考の計算が考え不足でしたので補足します。 車両が止まるまでの時間の式でF=0の場合に対する考察が抜けていました。単純にF=0を適用するとT=∞となり車両は止まらないことになってしまいます。この場合には自然走行になり、今回の考察とは別に考える必要があるのですが、その点について言及がありませんでした。 そこで、F=0の場合ですが、Fが小さければQも小さくなります。理論的には滑り摩擦(滑らないように作用する摩擦)だけを考慮した場合、車輪が滑らない限り仕事をしないので、エネルギー損失もなく、車両は走り続けることになります。Fを作用させた場合、車輪とブレーキの間に滑りが生じており、エネルギーの損失が存在します。これにより最終的に車両は停止します。F=0の場合に車両が停止するのは転がり摩擦などの別の機構によるエネルギー損失が原因で止まると思われますが、これを数式で簡単に示すのは私には能力外です。 前回の計算例では止まるまでの時間Tを示しましたが、Qの値を示した方が興味ある議論ができるようです。そこで式を書いてみると Q=-Rv'=(MR^2/(I+MR^2))F となります。この式からは、ブレーキから伝えられる力Fがそのまま摩擦力Q(=F)として作用するのではなくて、Fが原因となって生じる摩擦力Qは車輪の回転慣性が関わる分だけFから差し引かれた量として実現されると言うことが理解できます。 これにより、ブレーキFはわずかながらQ0をオーバーしても良いことになります。 滑りなしの条件は Q<Q0 ですから、r=MR^2/(I+MR^2)として上式を代入すると F<Q0/r (r<1) が滑らないための条件になります。 通常の車両ではMR^2に比較してIが小さい量なので無視できます(Q=Fとなる)。しかし考え方としては、ブレーキの力に対する抗力として単純に摩擦力が生じると言うことではなく、あくまで車輪・レール間に滑りを生じさせないように(v=Rωとなるように)静止摩擦力が作用するという条件からQが決まると言うことです。このことは、MR^2に対してIが無視できない場合(例えば、車両に対して極端に重い車輪のような場合)に明確に現れます。即ちこの場合には、Fは車両の静止よりも車輪の回転を止めるために使う方が増えてきてその分水平方向の摩擦は小さくなる、そのようにならないとv=Rωが保てない(滑りなし条件が保てない)、そのように静止摩擦は作用する、と言うことです。 ※質問図を完全にそのままに解釈して車輪自体が車両になっているとすると、これは上記の極端な場合に当てはまってしまい、Q0をだいぶオーバーしてブレーキFを作動させても問題が生じないことになります。
お礼
回答ありがとうございます。 締め切った直後に気づいたので遅れました。
- teppou
- ベストアンサー率46% (356/766)
まず、列車は図の右方向に進行していて、そのため車輪は、矢印方向(時計回り)に回転している。 (1) Q は、静止摩擦力です。静止摩擦力と動摩擦力で、向きが違うというようなことはありません。 摩擦は、作用・反作用の力ですので、どちらの物体がどちらの物体に及ぼしている力かをはっきり認識していないと、勘違いしてしまいます。(特に車輪の場合には勘違いしやすいようです。) この場合、Q はレールが車輪に及ぼしている静止摩擦力です。 ちなみに、制動子と車輪の間に働く力 F は、動摩擦力です。 制動子を車輪に押し付けることにより、車輪は制動子から F の制動力を受けます。向きは回転と反対向きになります。 車輪に回転を止めようとする力 F が加わると、車両の慣性により、車輪はレールから車両の進行方向と逆向きの摩擦力 Q を受け、その力は車輪の回転を通して、F に対抗します。 (2) >「F≦Qを満たさないと、滑走する」 すでに滑走しているとすると、車輪は回転していないのですから、車輪の回転の矢印はないはずですし、F も 0 ですので、その矢印もないはずです。図から考えても車輪は滑走していません。 F と Q は車輪を通して、反対向きの働きをしていますので、F > Q になると、Q は動摩擦力となり、その瞬間に小さくなって、車輪は滑走を始めます。Q が小さくなると制動距離が延びてしまいます。 そうならないためには、F ≦ Q の状態を保たなければなりません。 (3) 車輪の回転を止めるということであれば F > Q ですが、車両を減速するためには、F ≦ Q でなければなりません。車輪の回転が止まらないようにしなければならないのです。 制動子を作動させて、車両を減速するということは、車両の運動エネルギーを制動子と車輪の動摩擦で熱にかえて、大気に放出するということです。
お礼
静止摩擦力Qと動摩擦力を混同してました。 回答ありがとうございました。
- Tann3
- ベストアンサー率51% (708/1381)
No.1です。「お礼」に書かれたことについて。 >ただ、今回の車輪は「車輪を回す力」を受けてますから、制動力がそれを超えない限り、制動力が負けて回転し続ける気がします。 ご質問の電車は、ブレーキをかけながらも、モーターで加速し続けているという条件ですか? 通常の「電車の慣性力」だけで、動力を加えていなければ、「惰性で回転しているコマを、少し触るだけでいつか止まる」と同じことだと思いますが。 それとも、「電車を止める」というブレーキの話ではなく、単に「車輪の回転をロックする」話をしているのですか? もしそういう話であれば、私の回答とはかみ合っていません。(というか、私の回答がご質問とかみ合っていません)
お礼
回答ありがとうございます。 Qは最大静止摩擦力でした。 >F≦Qを満たさないと・・・ 多分、これは「F≦最大静止摩擦力を満たさないと・・・」だと思います。動摩擦力と静止摩擦力Qを混同してました。
- foomufoomu
- ベストアンサー率36% (1018/2761)
なんか変な図ですね。 (1)まず、Qの意味がよくわかりません。1番回答では車輪の慣性力と考えてますが(それも納得できますが)、 STOP_0xc000021aさんが動摩擦か静止摩擦かを気にしているところを見ると、問題文に「Qは摩擦力」と書かれているのでしょうか? だとしたら、Qは車輪とレールの境目か、レールに書かれるべきです・・・(1つめの変なところ) (2)1番回答と同じことを書いてもつまらないので、Qは車輪がレールから受ける摩擦力と考えることにしましょう。 Qは電車を止めようとする力なので、必ず進行方向と逆向きになります。(動摩擦、静止摩擦の区別は関係ありません。) このとき、必ずQとFは等しくなります。車輪の同じ周上に作用する力ですから、釣り合わないと物理の法則に合いません。「F≦Qを満たさないと」と書いてあるのは2つめの変なところです。 かりに「Qは最大静止摩擦の大きさ」を表しているとすれば(3つめの変なところ)、Fが最大静止摩擦と等しい大きさの力になれば、車輪の回転は止まって、滑走することになりますが、ずいぶん無理のある図の書き方です。 (3)前に書いたようにF=Qですから、Fと等しい力Qで、電車は減速されます。
お礼
回答ありがとうございます。 「Qは粘着力」と書かれていました。(つまり、静止摩擦力) >Qは電車を止めようとする力なので、必ず進行方向と逆向きになります 「車輪が前に回転している=加速・減速関係なく、静止摩擦力を前に受ける」と間違って認識していました。 >F≦Qを満たさないと・・・ 多分、これは「F≦最大静止摩擦力を満たさないと・・・」だと思います。動摩擦力と静止摩擦力Qを混同してました。
- Tann3
- ベストアンサー率51% (708/1381)
「制輪子」は車輪の回転を制動するだけではなく、それを通じて「車両を静止」するのですよね? 車輪の回転だけを見ていると、判断を誤ります。 (1)Qは、「車両(車輪ではなく)の慣性力」です。これが、車輪を回し続けるように働きます。(単なる「摩擦力」ではありません) 「車両の慣性力」=「車輪を回す力」であるためには、車輪とレールとは「滑らずに回転」つまり「グリップ状態」にある必要があります。その範囲であれば「静摩擦力」です。 (2)「F≦Qを満たさない」ということは、「F>Q」ということです。「F>Q」とは、制動力>「車輪を回す力」ということですから、車輪がロックし、電車は慣性力で進もうとするので、車輪とレールとが「グリップ状態」を維持できずに滑り出します。 (3)まず、上に書いたように、質問者さんの(1)は間違えています。 「停止するには回転速度を落とす必要があり」は正しいです。回転速度を落とすのには、「F>0」であればよいのです。Fが小さくとも、時間をかければいつか止まります。 上にも書きましたが、「Q」は「電車」の慣性力、車輪とレールが「グリップ状態」であれば「車輪を回そうとする力」です。 まず、このことをしっかり理解する必要があると思います。
お礼
回答ありがとうございます。 >回転速度を落とすのには、「F>0」であればよいのです。Fが小さくとも、時間をかければいつか止まります 例えば、惰性で回転しているコマを、少し触るだけでいつか止まる、というのはわかります。ただ、今回の車輪は「車輪を回す力」を受けてますから、制動力がそれを超えない限り、制動力が負けて回転し続ける気がします。(例えば、回転するハンドルを、お互いが引っ張り合うとき、弱いほうが引きずられる状態)。
お礼
車輪が前に回転する=加速・減速関係なく静止摩擦力を前に受ける、と勘違いしていました。 わかりやすい回答ありがとうございました。