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-2JSi・Sj の導出
私は大学院で磁気学を勉強している者です。いま、交換相互作用について文献調査をしているのですが、強磁性体の物理(上)という本に以下のような内容が記されていました。 交換相互作用をはじめて指摘したのは1928年のHeisenbergによる論文である。彼によるとスピンSi(ベクトル)とSj(ベクトル)とをもつi番目の原子とj番目の原子の間には -2JSi・Sj (1) の形のエネルギーをもつ相互作用が働く。ここでJは交換積分。 この交換積分Jは自分で計算して導くことができたのですが、(1)式を導くことができませんでした。この(1)式の導出のしかたを教えてください。また、この質問に関する文献・URL(1928年のHeisenbergによる論文など)がありましたら教えてください。よろしくお願いします。
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>この(1)式の導出のしかたを教えてください。また、この質問に関する文献・URL(1928年のHeisenbergによる論文など)がありましたら教えてください。 ご質問のハミルトニアンは磁性体のハイゼンベルグ模型のハミルトニアンですね。この導出は小口武彦著「磁性体の統計理論」裳華房の第1章にでています。\5,460円と少し高いですが、磁性体を研究するには必携の1冊と思いますよ。尚、ハイゼンベルグ模型のハイゼンベルグによる論文やDiracの論文などは参考文献として同書に載っています。
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- KENZOU
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>導出の途中で『置換演算子P』という言葉が出てきたのですが、よく分かりませんでした。この置換演算子Pはどういう式で与えられているのですか? 置換演算子は波動関数の対称性を考慮しているのですね。つまり、電子のような半整数のスピンを持つ粒子をフェルミ粒子(電子、陽子、中性子等)と呼んでいますが、今、N個のフェルミ粒子の波動関数をψ(x1,x2,・・・xn)とすると、このN個の変数の任意の2個を入れ替えるとψは符号を変えます(反対称)。変数xiとxjを交換する演算子(置換演算子)をPijと書くと Pijψ(x1,x2,・・・xn)=-ψ(x1,x2,・・・xn) (1) となります。ちなみに整数スピンをもつ粒子をボーズ粒子(光子、α粒子等)と呼んでいますが、ボーズ粒子の場合、(1)は Pijψ(x1,x2,・・・xn)=ψ(x1,x2,・・・xn) (2) となって、波動関数は変数の交換に対して対称となります。以上のことを一般的な形にすると、x1,・・・xnのN個のものの任意の順序を並べ替える演算子をPで表すと、 Pψ(x1,x2,・・・xn)=(±1)^pψ(x1,x2,・・・xn) が成立します。ここでp=0が偶置換、p=1が奇置換を意味します。±の+1はボーズ粒子、-1はフェルミ粒子の場合です。 置換演算子は群を形成します(置換群)がこのあたりの話は適当なテキストを参照されるといいでしょう。 (p.s) 多体問題では基底状態の波動関数を1つの行列式で表すことがありますね。確かスレーターの行列式とか呼んでいましたかね(←うろ覚え)。Hartree-Fock近似の話でよくでてきたと思いますが、これは行列式ですから行を交換すると符号が反転しますね。置換演算子はこのイメージで捉えると分かりやすと思います。
お礼
詳しい説明ありがとうございました。量子力学は初心者なので、ここら辺の話は本当に分かりづらかったのですが、よく理解することができました。特に、最後のスレーターの行列式のイメージがとても分かりやすかったです。 今後ともよろしくお願いします。
- siegmund
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本格的な磁性の教科書ならたいてい載っています. 手元の本をいくつか見てみました. ○ 小口武彦著「磁性体の統計理論」裳華房 これは KENZOU さんご紹介の本. ○ 金森順次郎著「磁性」培風館(新物理学シリーズ) ○ 永宮健夫著「磁性の理論」吉岡書店 ○ 芳田奎「磁性」岩波書店 著者はいずれも磁性理論の大御所です.
お礼
ご回答ありがとうございました。参考にさせていただきます。
補足
ご回答ありがとうございます。返事が遅れてしまって申し訳ありません。 教えていただいた「磁性体の統計理論」という本を見つけたので、さっそく(1)式の導出を行ってみました。導出の途中で『置換演算子P』という言葉が出てきたのですが、よく分かりませんでした。この置換演算子Pはどういう式で与えられているのですか?