やや逆説的ですが、野菜の定義を葉物野菜、根菜類、緑黄色野菜程度に限定するなら、野菜ジュースを飲んでいれば、摂れない栄養素は無いと思います。つまり、他の食品でいわゆる「野菜の栄養」は充分補えるということです。野菜の定義を更に芋、豆類、海藻まで広げると栄養の偏る可能性が出てきます。
野菜じゃないと摂れない栄養素というとベータカロテン程度です。厳密には肉類にも含まれますが、ごく微量で、ベータカロテンを期待することはできません。野菜ジュースにはトマトやニンジンが使用されているため、ベータカロテンが豊富です。(海藻にもベータカロテンは含まれますが、海藻ばかりでベータカロテンを摂ろうとすると、ヨウ素の過剰摂取の問題が出ます。またミカンなどの果物にも含まれますが、四季を通じて食べられるとは限りませんので、緑黄色野菜で摂るのが妥当でしょう)
更に、ベータカロテンは必要栄養素とは言われますが、実は「欠乏症」というのはありません。したがって、厚労省も「推奨摂取量」を設けていません。ご存知のようにベータカロテンは体内でビタミンAに変換されますが、ビタミンAは牛乳、バター、牛・豚・鶏レバー、鰻など動物性食品からも充分に摂取可能です。ベータカロテンには抗酸化作用があるとされますが、ビタミンAをしっかり摂っているなら、コップ1杯程度の野菜ジュースから摂取するベータ-カロテンで充分と考えられます。
ビタミンCは野菜に期待する栄養素ですが、四季を通じて果物からも摂取可能です。野菜ジュースにもビタミンCを添加したものもありますし、野菜不足を気にする人なら、サプリなどで補っている人も少なくありません。しかもビタミンCサプリは最も安いサプリの一つです。ビタミンC欠乏症はありますが、厚労省の推計では日本人はビタミンCを充分に摂取しており、現在の日本には欠乏症の患者さんはいないそうです。ちなみに、サプリや医薬品のビタミンCは化学的に合成されたものですが、天然ビタミンCと化学構造は全く同じであり、効能(化学作用)は全く同じです。敢えて果物や野菜から摂取する必要はありません。
食物繊維も野菜に期待する栄養素ですが、冒頭でも言いました通り、芋、豆、海藻を野菜に含めないとすれば、「野菜でない」芋、豆、海藻から充分摂取できます。更に殆ど料理とは無縁な方でも、スーパーで売っている納豆、卯の花、惣菜の枝豆、塩ゆでソラマメ・エンドウ、焼き芋、シリアル(特にブランのシリアル)、ライ麦パン、全粒粉パンなどを食べれば問題ありません。また野菜ジュースで水溶性食物繊維を添加したものもあります。
あとはカリウムですがこれもほとんどの果物で摂取可能です。バナナなど1年じゅう出回っており、価格も安定していて、手で向いて気軽に食べられます。
ということで、野菜から摂取する栄養素とは何かと考えた場合、我々に漠然とトラウマのようにのしかかる「野菜不足」信仰は、1日に野菜ジュースをコップ1杯(200ml)程度飲んでいれば、忘れても良いのではないかと思いますが如何でしょうか。
お礼
回答ありがとうございます。 読んでいて、とても楽しかったです。 >野菜じゃないと摂れない栄養素というとベータカロテン程度 いきなり、「おおっ!」って感じでした。ちゃんと自分で栄養の計算した方が良いのでしょうが、ちょっと面倒な気持ちが勝ってしまいなかなか・・・。 なので、ちゃんとすれば、そういう事も分かりそうですね! >ヨウ素の過剰摂取 ひじきとか、輸入禁止の国とかあるらしく、ちょっとネット見た事あります。 >「欠乏症」というのはありません。したがって・・・ 推奨摂取量って、そういう感じで決められていのですね。 >ベータカロテンは体内でビタミンAに変換 イコールの関係化と勘違いしてました。ちゃんと調べた事なかったので。 >サプリや医薬品のビタミンCは化学的に合成されたもの・・・ なるほど!面白い情報でした。 >カリウムですがこれもほとんどの果物で摂取可能 カリウム意識してませんでした。なるほど。 >1日に野菜ジュースをコップ1杯(200ml)程度 締め方が上手い!っと思いました! 私は栄養に余り詳しくないですし、詳細まで調べていませんが、割と信憑性が高そうで、長く記憶に残りやすい回答と感じました。 ありがとうございました。