明治の元勲、つまり幕末の志士たちの多くは元々「攘夷論者」でした。つまり「外国人は斬れ!」だったんですね。ところが彼らは新政府の指導者となると、欧米主義者に豹変してしまいます。
別に明治政府になるまでじゃなくても、高杉晋作みたいに上海に留学して、「無理。やっぱ欧米と戦って勝つなんて無理。むしろやつらに学ぼう」と180度の転向をしています。彼ら志士たちは、そういう思想的転向をするにあたって葛藤した様子はありません。坂本龍馬のようにあっさり説得される人もいました。
それどころか、新政府に最後まで抵抗した土方歳三からして、最後に残るあの有名な写真はちょんまげをやめて洋装でブーツという実に「最新の流行を取り入れたオサレ男子」です。お前は武士になりたかったのと違うのかとツッコまずにはいられませんし、ああいう格好をすることに歳三さん自身が葛藤した様子はまるでありません。
太平洋戦争において、日本人は「でてこい、ニミッツ、マッカーサー」とかいっていたのに、戦争が終わってそのマッカーサーが占領軍司令官になると実に従順に従いました。ただ従順に従うだけではなく、そこから復興に邁進したわけです。
そこの切り替えで日本人が「昨日まで敵だったやつの命令に従うべきなのか」という葛藤をした様子はありません。
かように、日本人というのは排他主義が高まっても「それじゃ通用しない」ってのが分かるともうあっさり「じゃあイイトコは取り入れちゃおうぜ」となる民族なのです。それは節操がないともいえるでしょうが、私は日本人のある種のしたたかさだと思います。そのおかげもあって植民地にならなかったり、奇跡的な復興をとげて先進国入りしたわけですからね。
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