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民法176条、177条に基づく甲地売買のトラブルについて
- 民法の176条、177条に基づく甲地売買のトラブルについて解説します。
- 60歳を過ぎて老いを感じ始めたAが甲地を売却することになり、Bとの売買契約を締結しました。しかし、その後AがCに甲地を買い取られる話が持ちかけられ、甲地の所有者が変わってしまいました。
- Bは引き渡しを受けた後にCから明け渡しの要求を受けましたが、この場合Bは要求に従わなくても良い可能性があります。具体的な理由について詳しく解説します。
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回答の1例です。考察の参考にして下さい(なお、農地法の問題は除外します)。 Cの請求の根拠は、甲地の所有権に基づく土地明渡請求権である。そこで、甲土地の所有権がCに存するのかが問題になる。 甲地は先にAからBに売買されているので、甲地の所有権はAに移転しているか。売買契約(民法555条)は、債権契約であるから、所有権移転という物権変動は生じないのではないかが問題となる。 この点、民法176条は、「物権の設定及び移転は、当事者の意思表示のみによって、その効力を生ずる。」と規定しているから、民法は物権変動は意思表示のみで足りるという意思主義の原則を採用している。したがって、 売買契約が締結されれば、その契約の効果として、所有権移転という物権的効果も生ずると解する。 これを本問にあてはめると、AとBの甲地を目的物とする売買契約を締結しているから、甲地の所有権はAからBに移転した。 しかし、Aは甲地をさらにCに売却している。Aは既に甲地の所有権を喪失しているから、Cに甲地の所有権は移転しないのではないかが問題となる。 この点、民法177条は、「不動産に関する物権の得喪及び変更は、不動産登記法 (平成十六年法律第百二十三号)その他の登記に関する法律の定めるところに従いその登記をしなければ、第三者に対抗することができない。 」と規定し、不動産の物権変動に対抗要件主義を採用している。これは、民法176条の意思主義の原則を修正して、対抗要件を具備しない物権変動は完全な効力を生じないとした規定と解する。 したがって、AはBに売却した甲地をさらにCに売却することが可能であり、甲地の所有権は、AとCのうち、先に不動産登記を具備した者に属することになる。 これを本問にあてはめると、Cは既に不動産登記を具備しているから、Cが完全な所有権を取得している。BはCからの土地明渡請求に応じなければならない。