削減義務に関しては、前の方が書かれた通りです。
2点目のなぜ先進国が批准していないのか(2国してますけど)、についてお答えします。基本的には前の方が書かれたことに「加えて」以下のことがあげられます。
1997年に採択された京都議定書が温室効果ガスの削減数値目標を目玉とするのは間違いありませんが、これらに加えて、この議定書では「京都メカニズム」という3つのメカニズム(排出量取引、共同実施、クリーン開発メカニズム)と「吸収源」という仕組みが導入されました。
「京都メカニズム」「吸収源」それぞれについての説明は、ちょっと長くなってしまうのでここで省略しますが、大事なのは、この2つが実質的な削減目標の意味を大きく変える可能性を持つものであったということです。
しかし、この2つに関する詳しいことはCOP3では合意がされませんでした(もっと正確に言えば、この2つに関して詳しく決まらなかったからこそ数値目標について合意ができたんですが)。
また、この他にも「遵守問題」=目標を守れなかったときの罰則規定など、や「途上国問題」=途上国への援助など、に関しても合意ができていませんでした。
よって、実質的な意味での京都議定書および削減数値目標が一体どのようになるのか、COP3が終わった時点ではまだほとんど決まっておらず、そのことについて今度は交渉をする必要があったわけです。
これらが決まらないと、各国は議定書に関して責任をもって批准することはできません。
中身が固まっていない契約書にサインをするようなものだからです。
このため、各国はCOP6までにそれらについて合意をするつもりで交渉をしてきたのですが、結果は御存知の通り「決裂」という形で、また今年の来月に持ち越しとなってしまいました。
以上でお分かりだと思いますが、ブッシュ大統領が「先進国が批准していないから死文化している」と述べているのは、全くの詭弁です。
まさに、現在の交渉はその批准をする体制を整えるために行われていたものですから。
参考になれば幸いです。