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南極老人星の名前の由来
南極老人星の名前の由来を教えてください。 とくに何で南極なのか、気になります。
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「南極老人星」はりゅうこつ座のα星(カノープス)の中国での呼び方ですが、今から2000年以上昔に書かれた『史記』の「天官書」に次の一節があります。 狼比地有大星、曰南極老人、老人見、治安、不見、兵起。常以秋分時候之于南郊。 「狼」の比地に大星あり。南極老人と曰う。老人見(あら)はるるときは、治安に、見はれざるときは、兵起る。常に秋分の時を以って、之を南郊に候(うかが)ふ。 「狼」は天狼星(シリウス)のことなので、シリウスの近くに大きな星がある。「南極老人」という。この星が現れる(見える)ときは治安がよく、現れない(見えない)ときは兵乱が起こる。常に秋分の時に都の南の郊外で天子がこの星を観察することになっている。(くらいの意味だと思います。) 草下英明氏の「星の文学・美術」には「南極は天の南極を一応指しているが、中国からはもちろん南極の空は見えない。けれど老人星がもっとも小さな弧を描いて地平線から現れることから、最南涯の星と見立てたものである。」と書かれていますが、妥当な見方だと思います。 なお「老人」についてはめったに見られないこの星を見ると長寿が保てるという信仰が背景にあると考えられます。天官書では直接このことには触れていませんが、後の注釈書には「老人一星、在弧南、一曰南極、為人主占寿命延長之応。」と書かれていて、人(君主)の寿命をつかさどるという考え方が古くからあったことがわかります。 ところで見える高度が低いため、大気の影響でこの星は赤っぽく見えることが多く、このことも「大酒飲みの老人」が「老人星」の化身として都に現れたという宋の時代のお話ともつながっているのだと考えます。
お礼
うわーー、丁寧な説明で とっても感激しています。 本当にありがとうございます! 2000年以上前の『史記』の「天官書」に南極老人星という記述がある・・・ とても古い名前なのですね。 読み下し文、原文まで書いてくださって 本当にありがたいです。(漢文が苦手) >草下英明氏の「星の文学・美術」には「南極は天の南極を一応指しているが、中国からはもちろん南極の空は見えない。けれど老人星がもっとも小さな弧を描いて地平線から現れることから、最南涯の星と見立てたものである。」と書かれていますが、妥当な見方だと思います。 おおー、そういうことで南極なのですね! 天官書の記述も大変参考になりました。 >ところで見える高度が低いため、大気の影響でこの星は赤っぽく見えることが多く、このことも「大酒飲みの老人」が「老人星」の化身として都に現れたという宋の時代のお話ともつながっているのだと考えます。 うわー、面白いですね。 ほんとうにありがとうございました。