弱い模範解答
以前に「教えて!」でも取り上げられましたが次のような設問があります。
2人でじゃんけんをする。グーで勝ったら3歩進み、チョキまたはパーで勝ったら6歩進むものとする。グー・チョキ・パーをどんな割合で出せばいいか。
この問題は、昨年「コマネチ大学数学科」でも出題され、N先生(T先生だったかな?)が用意した模範解答は「グー、チョキ、パーを2:2:1の割合で出す」というものでした。理由は、以下のようです。
自分が出す回数をg,t,p、相手が出す回数をx,y,zとする。
自分がグーを出した時の利得は g(3y-6z)
自分がチョキを出した時の利得は t(-3x+6z)
自分がパーを出した時の利得は p(6x-6y)
これらを加え、相手の手数でまとめると
(6p-3t)x+(3g-6p)y+(6t-6g)z
A=(6p-3t)、B=(3g-6p)、C=(6t-6g)とおくと次の関係が成り立つ。
2(A+B)+C=0
よってA,B,Cは、3つともゼロか少なくとも1つはマイナス。
仮にAがマイナスだとすると、相手がグー(x)ばかり出した場合にマイナスに
なって負けてしまう。B,Cについても同じ。従ってA=B=C=0
∴6p=3t、3g=6p、6t=6g
∴g:t:p=2:2:1
私は、模範解答の強さを確かめるために、シミュレーションでリーグ戦を行いました。エントリーメンバーは、
a:模範解答 グー、チョキ、パーを2:2:1の割合で出す
b:均等 グー、チョキ、パーを1:1:1の割合で出す
c:グーのみ グー、チョキ、パーを1:0:0の割合で出す
d:チョキのみ グー、チョキ、パーを0:1:0の割合で出す
e:パーのみ グー、チョキ、パーを0:0:1の割合で出す
の5人です。対戦回数を各1000回としたときの結果を以下に示します。数字は進んだ歩数です。
「 こ ち ら 」
a b c d e
┐a: × 1584 1170 1200 2394
相 b: 1614 × 1077 2022 1932
c: 1332 1932 × 0 6000
手 d: 1191 975 3000 × 0
└ e: 2316 2160 0 6000 ×
合計 6453 6651 5247 9222 10326
なんと、模範解答はブービーです。番組中で東大生チームが出した答えであるd(チョキのみ)の方がはるかに強いです)。
ただしこれは「d、eが高得点をあげるべくc、d,eが談合したに等しい」とも思えます。そこでc、d,eの代わりに以下の2人に入ってもらいました。
f:グー、チョキ、パーを2:1:2の割合で出す
h:グー、チョキ、パーを1:2:2の割合で出す
対戦回数を同じく各1000回としたときの結果を以下に示します。
「 こ ち ら 」
a b f h
┐a: × 1566 1794 1815
相 b: 1623 × 1590 1824
手 f: 1458 1716 × 2040
└ h: 1671 1659 1383 ×
合計 4752 4941 4767 5679
模範解答は最下位になってしまいました。fとの差は僅かですから、もう一度やればfに勝てる可能性はあるでしょうが、hには勝てそうにありません。番組でも必勝法とは言っていませんが、それにしても情けない結果だと思います。どうしてこうなるのでしょう。
結果の考察や、模範解答の妥当性などについて皆さんの意見を聞きたいです。